安田顕がどの場所でも大切にするユーモア 『PICU』で果たす、若者たちの背中を押す役割

常にユーモアを持って

――植野先生は、優しい眼差しと厳しさを兼ね備えているキャラクターですが、そのバランスや塩梅はどう考えて演じていますか?

安田:厳しさを出すときの塩梅は調整していかなきゃなと思います。「君がこうこうこうだから、こういうことになるんだよ。それについて君はどう思う? 何とかだと思わない?」だと、上からの教えになってしまう。それでいいはずなんですが、多分フラットに同じ目線で話したほうが伝わると思うんです。もちろん、急患が来たときは、的確に指示していくんですが、「君の過ちがこうだから」と冷たく突き放すようなやり方をしてはいけないなと思っています。だから、その厳しさをどう伝えるかは、演出の平野(眞)さんのご指示のもと、全体のバランスのもとで取り組んでいきたいです。

――お話を伺っていて、安田さんご自身の面白さと真面目さのバランスも心地良いと感じていて。その辺りは普段から意識されていることはありますか?

安田:何かに一丸となって取り組むときは、やっぱりユーモアが必要だと思うんです。こういう世界を作ろうと言ったときに、どっぷりハマりすぎるのではなくて、例えば、すっと自分が戻れる状態になっていた方がいいなと。ちょっとした合間にでも、ちょっと崩してみたりということに取り組んだほうがいいのかなという気がするんですよね。お化け映画の現場とか本当に面白いんです。小さい子がお化けの格好で知らないところからちょこちょこ笑いながら歩いてきたりしますからね。そういうのを楽しみつつも、お客さんに提供するのが大事かなと思っています。

――ユーモアが大事だと思ったきっかけは?

安田:親やこれまで出会った人だと思います。昔は深夜3時終わりで早朝に始まる撮影現場とか、日常茶飯事でしたが、そういうときだからこそ、ちょっとした合間にバカ話をしたり、そんな自分たちを揶揄するような振り幅があって。そういう方が、共に乗り切れる気がするんです。僕の父親が、軽いジョークを必ず挟む人で。その姿を見ていても、その方が柔らかく盛り上がっていけるんじゃないかなと思ったし……。でも今回は、なるべく黙っていようと思うんですけどね。平野さんが結構求めてくるかもしれないから、どうしようかなと思っているんですけど。余裕ができるまでは、ちょっと黙っておきます(笑)。

――安田さんがいらっしゃったら現場は楽しそうです。実際の撮影の雰囲気はどうですか?

安田:……もちろん現場の雰囲気は良いですよ! その質問に対する答えって、どこになるんですかね(笑)? オチがないんですよ。「あぁー……」とか言っちゃったら終わりだから! もちろん、雰囲気は、いい雰囲気だと思います(笑)。

――志子田にとっての植野先生のように、安田さんを導いてくれた方はいらっしゃいますか?

安田:父と母です。恥ずかしくて、若いときはエジソンとかリンカーン、野口英世とか言ってたんですが(笑)。でも素直に言えば、産んでくれて、育ててくれて、物の見方や生き方など、自分の基礎や判断基準を与えてくれた親ですね。絶対に敵わないし、1番学べる存在は父と母だと思っています。

――ご自身も自分のお子さんにとって、そういう存在になっていきたい?

安田:なっていきたいとは思わないです。僕の父もなってほしいとは思っていなかったと思うし、酔っ払って机の角に頭ぶつけて救急車で運ばれるような人間ですから。そこは見習いたくないなと思います……。今の冗談ですよ?(笑)

――(笑)。改めて、作品への意気込みを教えてください。

安田:観てくれた方に届いてほしいなと思います。より多くの方に届いてほしいというのが本音ですが、リアルタイムでも録画でも、観てくれた方にPICUがどういうものなのか、この作品が届けたいのはどういう思いなのか、そういうものが一つ一つ、視聴者の皆さんに届くように、きちんと丁寧に作っていけたらいいなと思います。

■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
公式Twitter:@PICU_cx
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