『相棒』寺脇康文が“新たな相棒”として見せた変化 右京×亀山の成長が印象的な幕開け
この発言に、亀山はこのようなことを言う男だっただろうかと、とても驚いてしまった。そもそも亀山は、サルウィンに渡った理由の一つとして“子供たちに正義の精神を教える”と言っていたほど、“正しいこと”を追求してしてきた男だったはずだ。これまでの亀山なら、“どちらかを犠牲にする選択をするくらいなら、無理をしてでもどちらも救う!”と意気込んでいたように思う。だが、そんな彼も、大勢のための選択を視野に入れることができるようになっている。これが政府が腐敗し、荒れていたサルウィンで過ごしてきた成長した亀山なのだろう。
その後の、「ええ、君の言うとおり、それには反論できませんね」と言う杉下の受け答えにはさらに驚かされた。それは暗に、アイシャを殺そうとする行為を黙認するという意味にも捉えられるからだ。普段は温厚な杉下だが、誰よりも正義を重んじ、人の道を外れようとする者には厳しく、声を荒げて叱責する。だが、今の杉下にとっては亀山やそのほかの関係者がしようとしている行為もまた、“正義”と捉えられるのだろう。ふと、警察の追及を逃れた犯罪者たちに制裁を下す暴行犯「ダークナイト」となってしまった三代目相棒・甲斐享(成宮寛貴)の姿が脳裏に浮かんだ。亀山が成長しているのと同じくらい、杉下も歴代の相棒から多くのことを学んだ、ということなのだろう。
結果的にアイシャは死亡。しかし、関係者の中に犯人がいるかは謎のままだ。ここからサルウィンからきた亀山ではなく、杉下とその相棒の亀山が動き出すのだ。
■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式Twitter:@AibouNow