映画&ドラマで異例の『シャイロックの子供たち』被り 池井戸潤ブームはいつまで続くか
『半沢直樹』以降、池井戸潤作品の映像化人気は一気に爆発。日曜劇場では、『半沢直樹』のチームが『ルーズヴェルト・ゲーム』『下町ロケット』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』といった作品を定期的に映像化。
日本テレビでは、女性銀行員を主人公にした『花咲舞が黙ってない』シリーズが作られた。テレビ朝日系では、総理大臣の父親と息子の心と体が入れ替わる政治コメディ『民王』を制作。そしてフジテレビでは、相葉雅紀主演で『ようこそ、わが家へ』が作られた。
同時に起こっているのが再映像化である。『下町ロケット』は2015年にTBSで再ドラマ化されシリーズ化、2010年にNHKでドラマ化された『鉄の骨』も2020年にWOWOWで再ドラマ化。『アキラとあきら』は2017年にWOWOWでドラマ化された後、今年、三木孝浩監督が映画化。『空飛ぶタイヤ』は、2018年に本木克英監督によって映画化され、2013年にNHKでドラマ化された『七つの会議』も、2019年に福澤克雄監督が映画化した。
再映像化された作品は『半沢直樹』以前のものが多い。そのため、“現代の時代劇“として過去作を再構成したいという意図があったのではないかと思う。
それにしても、なぜこれほどまでに池井戸潤作品の映像化は求められるのだろうか?
『半沢直樹』以降、“現代の時代劇”に池井戸潤作品が変わったことは前述したが、別の表現を用いるならば「バブル崩壊以降の平成日本を描いた神話」だったとも言える。令和の現在も、日本人はバブル崩壊の後遺症を引きずり、長い不況の中にいる。そんな日本人、中でも会社組織で生きる人々にとって、池井戸潤作品は生きていく上での羅針盤と言える存在だ。
だからこそ平成が終わった今も、多くの人々に求められ続けるのだろう。
参考
※ https://dot.asahi.com/wa/2013092000028.html?page=1