『どうする家康』はコメディ色の強い大河ドラマに? 古沢良太と三谷幸喜の方向性の違い

『どうする家康』はコメディ色の強い大河に?

 2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の脚本は古沢良太が担当する。

 本作は、徳川家康の生涯を描く大河ドラマ。制作統括の磯智明のインタビューによると、家康を書きたいというのは古沢の念願で「どうする家康」というタイトルは、古沢が内容について話す際に頻繁に登場したフレーズを採用したものだという。(※)

 キャストには主人公の家康を松本潤、織田信長を岡田准一、豊臣秀吉をムロツヨシ、今川義元を野村萬斎、武田信玄を阿部寛が演じることが決まっているが、気になるのが家康の家臣に忍者がいること。伊賀忍者の棟梁・服部半蔵を山田孝之、半蔵の部下の忍者の大鼠を千葉哲也、くノ一(女忍者)の女大鼠を松本まりかが演じる。

 どんな作品になるのかまだわからないが、古沢良太の過去作の傾向を考えると、史実を忠実になぞるような大河ドラマにはならないのではないかと思う。むしろ忍者が登場することからもわかるように、良い意味で荒唐無稽な作品となるのではないだろうか?

 古沢良太は28歳の時に『アシ!』でテレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞。2002年にデビューしてしばらくは、刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)で異色のエピソードを書く脚本家として注目を集めていた。2008年にはオリジナル脚本の刑事ドラマ『ゴンゾウ~伝説の刑事』(テレビ朝日系)が高く評価され、第27回向田邦子賞を受賞。2009年には麻生幾の警察小説をドラマ化した『外事警察』(NHK総合)の脚本を担当。本作は公安警察とテロリストの情報線を描いたシリアスな刑事ドラマで、後に映画化もされている。

 2000年代後半の古沢の作風はシリアス寄りで、映画では山崎貴監督の『ALWAYS 三丁目の夕日』が高く評価されていた。そのため、原作ものを手堅く仕上げる職人的な脚本家という印象が強かったのだが、2010年代に入るとオリジナルのコメディドラマを連発するようになる。

 『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)は、勝つためなら手段を選ばない敏腕弁護士の古美門研介(堺雅人)と正義感の強い真面目な弁護士・黛真知子(新垣結衣)が主人公の法廷コメディ。『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)は現代の高等遊民を気取る無職の青年・谷口巧(長谷川博己)と国家公務員のエリート女性・薮下依子(杏)が、恋愛感情を持たずに理念だけで付き合おうとするが、次第に心が引かれあっていく姿を描いた恋愛コメディ。

 そして『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)は、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)たちコンフィデンスマン(信用詐欺師)が毎回、悪党からお金を騙し取る姿を描いた現代版『ルパン三世』とでも言うような作品で、ドラマ終了後も映画がシリーズ化されている人気シリーズだ。

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