宇野維正の興行ランキング一刀両断!

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の観測気球? 前作の3Dリマスターは順調な興行

 先週末の動員ランキングは『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員25万9000人、興収3億5800万円をあげて8週連続の1位。公開から51日間の累計動員は1126万8753人、累計興収は156億9645万3630円。既に日本の人口の10分の1近くが観ているという驚異的な数字を計上している(実際は来場者プレゼント目当てのリピーターの割合も少なくないわけだが)。

 2週連続2位の『沈黙のパレード』も引き続き好調で、土日2日間で動員21万4000人、興収3億1100万円を記録。公開から10日間の累計動員は102万3056人、累計興収は14億3381万5300円。これは、最終興収33.1億円を記録した前作『真夏の方程式』の同期間の成績を上回るペースとなる。

 さて、上位を国内のアニメーション作品や実写作品が占めているランキングもすっかり慣れてしまったが、年内に公開が予定されているハリウッド映画の大作で目ぼしいところでいうと、10月28日公開の『アムステルダム』、11月11日公開の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』、12月16日公開の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』といったところ(20世紀スタジオの『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』含め、配給はすべてディズニー)。大人の観客向けの『アムステルダム』、北米では前作同様の爆発的ヒットになる可能性はあるものの日本ではMCUファンダムに支えられた堅調な興行になりそうな『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』はともかく、興行予測がまったくつかないのが『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』だ。

 もちろん、公開の規模的にもプロモーションの規模的にも『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』大ヒットスタートは約束されている。しかし、なにしろ世界歴代映画興行収入ナンバーワン作品『アバター』の13年ぶりの続編だ。問題は公開後にどれだけ「現象化」するかなのだが、その予想がまったくつかないのだ。個人的にも、映画関係者と話す機会がある度に「今度の『アバター』当たると思います?」と振ってみるのだが、その返答は人によって本当にバラバラ。同時期公開作でライバルとなりそうな外国映画がないことは追い風となるだろうが、コロナ以降の国内作品優勢の状況の中、この夏の『トップガン マーヴェリック』のような孤軍奮闘となるのだろうか?

関連記事