『六本木クラス』は竹内涼真の現在地を伝える一作 配信映えする存在感で脱“国民の彼氏”へ

 宿敵・長屋茂(香川照之)への復讐劇も大詰めを迎え、盛り上がりを見せる『六本木クラス』(テレビ朝日系)で、不動の主人公・宮部新を演じるのが竹内涼真だ。「国民の彼氏」として注目を浴びて数年。『六本木クラス』は、竹内の俳優としての現在地を伝える作品である。

 竹内の経歴については多くの言葉を要しない。20歳で芸能界入りし、翌年、『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)の主演に抜てきされると、2015年10月期の日曜劇場『下町ロケット』(TBS系)に出演。2017年には、朝ドラ『ひよっこ』(NHK総合)、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)、『陸王』(TBS系)など話題作でメインキャストを演じて注目された。長身で爽やかな風貌、親しみやすいキャラクターで「国民の彼氏」と呼ばれるようになったのはこの頃からである。

竹内涼真が語る、『テセウスの船』撮影の日々 「出口が見えない時はとりあえずがむしゃらに」

竹内涼真がTBS日曜劇場の初主演で挑んだヒューマンミステリー『テセウスの船』が、3月22日に最終話を迎える。ミステリー作品ならで…

 2020年1月期の『テセウスの船』(TBS系)で念願の日曜劇場主演を飾る。冤罪の父の真実を追うタイムスリップ・ミステリーは、木村拓哉の『グランメゾン東京』(TBS系)と7年ぶり待望の『半沢直樹』(TBS系)続編の狭間で苦戦が予想されたが、鈴木亮平や貫地谷しほり、麻生祐未ら実力派の共演者の力演と、原作と異なる真犯人の予想合戦も手伝って、高視聴率を記録するヒット作となった。

 日曜劇場の申し子として幅広い層から愛される竹内は、熱量と集中力で観るものを引き込む演技が魅力だ。また、過去にJリーグクラブのユースに所属しており、抜群の身体能力を生かしたアクション俳優の資質もある。前述の『仮面ライダードライブ』や『陸王』の長距離ランナー茂木に加えて、映画及びドラマ版『太陽は動かない』(WOWOW)では、胸に起爆装置を埋め込まれた諜報員の田岡亮一として、走る列車内での格闘や首まで水に浸かる体を張ったハードなアクションに挑戦した。また、ゾンビドラマに分類される『君と世界が終わる日に』(日本テレビ×Hulu)では、人類滅亡を思わせる世界で、主人公・間宮響として、ゴーレムウイルスに感染した人々や武器を持った対抗勢力と戦い、随所で持ち味を発揮した。

 竹内のもう一つの顔が配信映えする個性だ。竹内が主演を任される理由として、ルックスやアクションを含む演技力はもちろんだが、なによりもドラマや映画の世界観を真っ向から引き受ける俳優としてのスケールに卓抜したものを感じる。何度も過去と現在を行き来し、時間軸が交差する『テセウスの船』で竹内が演じた主人公の心は、突然のタイムスリップなど通常起きることのない出来事を次々と経験する。それが臨場感をもって感じられたのは、竹内が作品の世界と本気になって向き合った結果だろう。『君と世界が終わる日に』も、海外の諸作と比較し、リアリティの欠如を指摘する意見もある中で、配信版シーズン3まで制作された要因として、作品の根底にあるメッセージを咀嚼し生ききった竹内をはじめとする主要キャストの熱演を挙げることができる。同シリーズはHulu年間ランキング2021で首位を獲得し、新たなファン層を獲得した。

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