『メイドインアビス』ナナチ&ベラフ登場で物語は最終局面へ 価値の選択を迫られるファプタ

 TOKYO MXほかにてTVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』の第11話「価値」が放送された。これまでのコラムでも述べてきたように、第2期では価値の選択がテーマとして添えられているが、第11話では価値に縛られてきたファプタが自らの価値を選択する局面が訪れる。

『メイドインアビス』の独特な世界観を構築する価値のシステム リコの選択が物語の鍵に?

TOKYO MXほかにてTVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』の第10話「拾うものすべて」が放送された。奥深いストーリーや…

 ファプタとの過去を断片しか思い出すことができないレグ。ファプタにとってレグは大切な人であっただけに、鮮明に思い出して自分と一緒に成れ果て村の殲滅に協力してほしかったはずだ。そのことをファプタはずっと望んでいたが、レグの優しさに触れつつも自らの価値のために母親を解放することを選んだ。第10話のラストシーンの流れ的にはレグがファプタを止める展開だったはずだが、あっさりとレグがやられてしまったのは意外だった。

 そしてファプタが次なる矛先を向けたのは成れ果て村の住人ではなくリコ。ファプタはレグが記憶を忘れた原因がリコにあると考えていた。しかし、リコを守ったのはガブールンだ。ガブールンが助けたのはリコを守るためではなく、ファプタの未来を見据えてのこと。ガブールンの価値とはファプタを守ることであり、彼の健気な心意気に胸が締め付けられた。

 そんな中でベラフとナナチが登場。ミーティとの別れを決意して戻ってきたナナチはベラフと協力し、これまで見てきたイルミューイの記憶をファプタへと捧げる。ベラフやヴエコらとともに平和に暮らす母・イルミューイの姿、そしてヴエコのイルミューイへの愛情を知ることでファプタが涙を流すシーンは感動的だった。これまで母親を開放することを自らの価値としてきたファプタにとって、新たな価値のあり方を示すベラフの「君の価値を君自身で決める時が来る」という言葉は改めて考えさせられたのではないだろうか。

 ベラフの記憶によって存在価値に揺れるファプタ。価値とは本来相対的なものであるはずだが、ファプタにとっては村の殲滅が絶対的な価値として生きてきた。そんなファプタが自由に自分の価値を決めろと突然言われて混乱するのも無理はない。

関連記事