山中崇、“朝と夜”に欠かせない俳優に 『ちむどんどん』と『鎌倉殿の13人』で別人の顔
ここまでの朝雅を一言で表すなら“胡散臭い男”。 少なくとも『ちむどんどん』田良島のような信用に値する男ではまったくない。第35回で朝雅は、時政とりくの愛息・政範(中川翼)は、畠山重忠(中川大志)の嫡男・重保(杉田雷麟)により命を落としたのではと疑惑を投げかける。結局、朝雅から放たれた“毒牙”によって、重忠は謀反という道を選択するしかない状況に追い込まれてしまう。
第36回の放送後、重忠の死を惜しむ視聴者から「時政が全部悪い」「時政をたぶらからすりくが悪女過ぎる」などの声が挙がっていたが、そもそもの原因はこの朝雅の行動にあったのだ。
りくに告げるときのいやらしい顔、様子を伺いにきた義時に対しての憤怒の表情など、とても田良島を演じていた人と同一人物とは思えないほどの、“悪人”ぶりを山中は発揮していた。
「色悪を意識してやってください」と脚本の三谷幸喜からはリクエストを受けているようで(※)、今後の放送ではますます視聴者から嫌われていくキャラクターになりそうだ。視聴者に愛された田良島からのギャップ。こんな短期間で評価が変わる役者もなかなかいないだろう。
山中は、朝ドラは当たり役となった『ごちそうさん』室井幸斎役から、『半分、青い。』、『エール』、『ちむどんどん』とすでに4作品に出演。大河ドラマも『八重の桜』、『おんな城主 直虎』、『鎌倉殿の13人』の3作品に出演。決して出演時間は多くないながらも、どの作品でもまったく別人のキャラクターで作品に彩りを添えてきた。
善人にも悪人にも、そしてその間を行き来する人間にも、どの色にも染まることができる山中は、作り手側からしたらもっとも頼りになる俳優の一人だろう。朝ドラと大河、NHKの2大コンテンツに今後も山中は重宝されていきそうだ。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK