櫛木理宇、真梨幸子、宮部みゆきらミステリー作家原作のWOWOWドラマで秋を堪能

 一方、宮部みゆきの同名小説を連続ドラマ化した『連続ドラマW 楽園』もまた、ミステリーの形式を用いた奥深いヒューマンドラマだ。本作は、フリーライターの前畑滋子(仲間由紀恵)が16年前に起きた少女殺人事件を追っていく物語だが、同時に、過去に取材した凶悪事件によって心に傷を抱えた前畑が、被害者の女性たちの心の傷と向き合うことで、書き手として再生していく姿を描いた物語でもある。

『連続ドラマW 楽園』

 監督は権野元。脚本は篠﨑絵里子。二人は宮部みゆき原作の『連続ドラマW ソロモンの偽証』も手掛けている。宮部みゆき作品は多数映像化されているが、二人が作るドラマは宮部みゆき作品の精神をとても大事に扱っている。それは人間に対する温かい眼差しだ。この『連続ドラマW 楽園』も残酷な事件が描かれるが、最終的には人間味のある救いのある結末を迎える。

 最後に紹介したいのが『連続ドラマW 5人のジュンコ』。人間の暗部をえぐる“イヤミス”の書き手として知られる真梨幸子の同名小説を映像化した本作は、連続不審死事件の容疑者として逮捕された佐竹純子(小池栄子)を取材するジャーナリスト・田辺絢子(松雪泰子)が彼女の過去を追っていくミステリードラマとして始まる。

『連続ドラマW 5人のジュンコ』

 “5人のジュンコ”とは佐竹純子の事件をきっかけに浮上する田辺も含めたジュンコという名前の女性たちのこと。佐竹の事件を追うドラマだと思って観ていると、物語は次第に事件とは無関係に思えるジュンコたちが抱える鬱屈を描くドラマへと変わっていく。

『連続ドラマW 5人のジュンコ』

 ミステリーの枠組みで女性の生きづらい日本社会の暗部を描くという意味では『連続ドラマW 楽園』と近い構造だが『連続ドラマW 5人のジュンコ』は、これでもかと日常生活の中に潜む人間の悪意をあぶり出し、やがてミステリードラマの枠組みを大きく逸脱していく。目を背けたくなる描写も多いが、刺さる人には確実に刺さる作品だろう。

 原作小説の魅力を最大限に引き出した上で社会や人間の暗部をえぐる物語を描けることこそ、WOWOWドラマの魅力である。

『連続ドラマW 5人のジュンコ』『連続ドラマW 楽園』『連続ドラマW 黒鳥の湖』『連続ドラマW 鵜頭川村事件』

■WOWOWオンデマンドについて
スマホやPCでも見られるWOWOWオンデマンドはBS視聴環境が整っていなくてもネット環境があれば視聴可能。
さらに、無料トライアルも実施中。
申し込み月内は料金なしで体験可能。

■配信情報
『連続ドラマW 5人のジュンコ』
配信ページ:https://wod.wowow.co.jp/program/M10745

『連続ドラマW 楽園』
配信ページ:https://wod.wowow.co.jp/program/M15833

『連続ドラマW 黒鳥の湖』
配信ページ:https://wod.wowow.co.jp/program/172485

『連続ドラマW 鵜頭川村事件』
配信ページ:https://wod.wowow.co.jp/program/116492 

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