チョン・ソミン×イ・ジェウク『還魂』シーズン1を振り返る 難解な設定や師弟関係が魅力に

 また“坊っちゃまと侍女”、“師匠と弟子”という二面性を持つ面白さは、ウクとムドクへの愛着が深まる理由でもある。なかでも2人の会話からは関係性の変化がよく現れているので、もう一巡する際にはぜひ着目していただきたい。例えば、「死んでも師匠を助けろ」とウクに言っていたムドクは最終的には「捨ててでも生きろ」と告げ、“虚勢と気勢”、“義理と道理”、“毒と解毒剤”などと関係を比喩するワードも出てくる。そして何よりムドク、ナクス、チン・ブヨンと1人3役を演じたチョン・ソミンの瞬時に切り替わる演技にはすっかり引き込まれてしまった。最高のケミストリーをみせてくれたイ・ジェウクと共に拍手を送りたい。

 最後に、欠かせないのは周りのキャラクターの活躍だろう。ホン姉妹特有のロマンチックコメディが加味され、関係のねじれから生まれる笑いや恋人関係に発展する甘さまで楽しませてくれた。特にパク・ジン、キム・ドジュ(オ・ナラ)、イ・チョル先生(イム・チョルス)の三角関係は毎回笑いを誘っていた。ソンニムの長である姿とは裏腹に鈍感すぎるジンとドジュの進まない関係。断根していたイ先生のラブストーリーは突然に。若者よりも不器用で純粋な大人の恋。ベテラン俳優たちの振り切った愉快な演技は見事に“抜け感”を作り出してくれた。いつの日か、ジンとドジュが咲かせたホウセンカを見ることはできるだろうか。さらにはメインとなるムドク(ナクス)とウク、ソ・ユル(ファン・ミンヒョン/NU'EST)、世子コ・ウォン(シン・スンホ)の四角関係では、まさかのウクと世子のラブライン(?)までもが組み込まれており抜け目がない。誰も恨まずに済んだのは、それぞれが関係性を濁すことなく正直に向き合っていたからであろう。

 さて、2022年12月に放送予定のシーズン2(全10話)のテーマは「光と影」だ。ムドク(ナクス)が天附官の副官主チン・ム(チョ・ジェユン)により暴走して自らウクを刺してしまい敬天大湖に身を投げ、ウクは「氷の石」より復活を遂げる。雰囲気が一変するシーズン2にさらなる期待を寄せて待ちたい。

■配信情報
『還魂』
Netflixにて独占配信中
(写真はtvN公式サイトより)

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