反町隆史&竹野内豊、『ビーチボーイズ』コンビがアラフィフで迎える転機

 最近はほぼ『相棒』(テレビ朝日系)に俳優業を絞り、7年間出演を続けてきた同作から卒業した反町隆史(48)。そして事務所からの独立を発表した竹野内豊(51)。時に『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)で20代の頃に一世を風靡した2人が、同じタイミングでこれまで長年してきたことを止め、新たな動きを見せている。反町はWOWOWでの初主演ドラマ『WOWOWオリジナルドラマ 今どきの若いモンは』や『オールドルーキー』(TBS系)で活躍。竹野内は役が死んでもなお別役で出演を続けている『義母と娘のブルース』シリーズ3作目の『義母と娘のブルース 2022年 謹賀新年スペシャル』(TBS系)が好評で、昨年主演した『イチケイのカラス』(フジテレビ系)も評判が高く、2023年には映画化されることも決まっている。そこで、転機を迎える2人の今後の動きへの期待などを考察してみたい。

 アラフィフとなった彼らは、かっこいいスタイルや雰囲気は若い頃と変わらず、素敵に歳を重ね、ダンディーという言葉がふさわしい渋い大人の役者となっている。

 反町は、上司役や若者を見守る一歩引いた役が年齢的に増え、若い頃とは違った存在感を見せている。『オールドルーキー』では、スポーツマネジメント会社の社長を演じ、主人公の新町亮太郎(綾野剛)の理想主義と、経営者の立ち場として現実的な思想の違いで対立していく。ただ自身が過去の失敗から現実主義になったことで、気持ちが分かるからこそ垣間見える葛藤と、大人になってしまった哀愁の演技が実に魅力的。ただ、渋いながらもチャーミングな一面を覗かせ、情熱と優しさが調和した人情味溢れるところは、変わらない反町らしさだ。

 一方の竹野内は、若い頃のクールなイメージがあるからこそ、40代に入ってからは、真面目だけど穏やかで柔らかい空気を持った大人を演じる魅力があり、『イチケイのカラス』では、しがらみや偏見、先入観に一切とらわれないマイペースな刑事裁判官を演じ、柔らかいからこそ真剣になった時の説得力がある演技を見せる。役者として竹野内はどんどん柔らかくマイペースになっていく印象だ。

 若い頃の反町は、ちょっとヤンチャでワイルドな青年役を数多く演じ、1995年に放送された『未成年』(TBS系)では、少年院上がりの暴力団の構成員役で、悪ぶってるけど仲間思いの良い奴という、思春期の葛藤や揺らぎを見事に表現。寂しく思い詰める表情が美しく、いざとという時に助けにくるワイルドカードのような存在感が本当にカッコよく、大人に見えた。

 俳優デビューの頃からクールな存在感が魅力だった竹野内は、俳優として注目されるきっかけとなった、1995年放送の『星の金貨』(日本テレビ系)で、見かけは遊び人だが内面はナイーブという病院院長の息子を好演し、1996年放送の『ロングバケーション』(フジテレビ系)で演じた山口智子の弟役も、プレイボーイだが根は純粋というキャラクターで、生真面目な木村拓哉演じる瀬名秀俊とは対照的な、髭面でワイルドな色気が出まくった役柄で魅力を放った。

 人気作に出演し続けた2人が1997年放送の『ビーチボーイズ』で共演。オリンピック水泳候補だった桜井広海(反町隆史)と、仕事で大きなミスをしたエリート商社マン鈴木海都(竹野内豊)という対照的な2人が、休息を求めて海辺の民宿にたどり着き、ひと夏の青春を過ごす、月9では珍しい男の友情を描いた物語。一見チャラい広海は心に深い傷を負い、その虚勢を張る明るさで、反町はたまに見せる真剣な表情や弱気な言葉が彼のナイーブさを表現し、人間味溢れる人物を体現した。竹野内は、冷静沈着なキャラを演じ、知性を感じる落ち着きと低いトーンでの喋り、広海と口喧嘩してムキになる可愛げなど、以前にはなかった、知的で懐の深い演技を見せる。

 2人がカッコいいのはもちろん、ストーリーも良く、お互いを変に干渉せず、新しい一歩を踏み出すのを見守るところが大人の友情を感じさせる見事な演出。毎回20%以上の高視聴率をマークし、2人は若くして大人の色気漂う俳優として絶大な支持を得る。「反町派と竹野内派、どっち?」の質問が定番化するほどで、“抱かれたい男ランキング”(週刊女性)では毎回上位を争うなど社会現象にまで発展。反町が、自身が歌う主題歌「Forever」(反町隆史 with Richie Sambora)で『NHK紅白歌合戦』に出場したことでも当時の人気が伺える。作品は夏の風物詩のように何度も再放送されたことも、2人のコンビがいつまでも印象深い理由だろう。

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