綾野剛は“キャラクターを生きる” 『オールドルーキー』新町のがむしゃらでひたむきな姿

綾野剛は“キャラクターを生きる”

 近年、綾野は『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)で優しく穏やかな性格の怪物や、『MIU404』(TBS系)で‟足だけは速い“といわれる警察庁機動捜査隊の破天荒で常識に欠ける刑事・伊吹藍など、数々のイノセント系の役柄を演じているが、それらの演技プランとは異なるレイヤーで‟涙もろいピュアなアスリート”という人物像を創り上げ、その屈託のなさを少しあどけなさの残る口調で表現している。

 先日放送された第9話では、新町が担当する水泳選手・麻生健次郎(渡辺翔太)のドーピング違反問題が勃発した。パリオリンピック出場が難しくなり絶望する麻生選手に自身の引退について聞かれた時も、新町は自分の弱さや至らなさを隠すことなく口にするオープンマインドぶりを発揮。綾野はサッカーを心から愛し、誰に対しても心を開いて真摯に向き合う、ついつい応援したくなる新町というキャラクターを卓越した演技で嫌味なく成立させている。

 俳優・綾野剛の凄さは、“演じる”のではなく“キャラクターを生きる”ことだろう。作品テーマの読解はもちろんのこと、常に役柄への深い理解をもとに緻密なキュラクター設計を行って現場に臨む。その入念な役作りが大きく取り上げられたのは『武曲 MUKOKU』(2017年)あたりだったと記憶しているが、彼は剣道5段の剣士を演じるにあたり、鍛え上げられた見事な背筋を披露。そして自らの集大成と位置づけた『ヤクザと家族 The Family』(2021年)では、時代の流れに翻弄されながらも懸命に生きたヤクザの山本賢治という男の半生を一分の隙もなく演じきり、その濃密な演技が評判となった。

 『オールドルーキー』第9話は、新町のセカンドキャリアを揺るがす衝撃的な通告で幕を閉じた。そして現在公開されている第10話の予告映像では、今後スポーツマネジメントには関わらないと高柳社長に約束した新町が、最後の夢に向かって全身全霊で取り組む姿が映しだされている。果たして新町は夢をかなえることができるのか。新町とビクトリーの関係は? 綾野が描き出す、がむしゃらでひたむきな元アスリートの笑顔のその先を、最後まで見届けてほしい。

参考

※.https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=16107

■放送情報
日曜劇場『オールドルーキー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/
公式Twitter:@oldrookie_tbs
公式Instagram:oldrookie_tbs

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