『家庭教師のトラコ』鈴木保奈美の苦渋の決断 痛烈な社会風刺を織り交ぜる遊川和彦脚本

 8月24日に放送されたドラマ『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)第6話にて、各家庭の母親をターゲットとしたトラコ(橋本愛)の家庭教師が幕を閉じた。

 本作では、第1話〜第3話では中村家、下山家、上原家の各子どもをターゲットに、第4話〜第6話では各母親を順繰りと授業の相手に定めてきた。最後の生徒は、上原家の後妻ママ・里美(鈴木保奈美)。「人は愛で動くのか、お金で動くのか?」を授業テーマに、里美は閉鎖寸前の児童養護施設を救うため、3000万円を手に入れようとする。

 トラコが里美に提案するのは、夫・利明(矢島健一)が新頭取就任パーティー用に購入した1本300万円×10本の計3000万円のワイン・シャトーモリー、義理の息子・憲一(塩顕治)が購入した新進気鋭の画家の3000万円の絵画、義理の娘・椿(長見玲亜)が買ったばかりの3000万円のストラディバリウスを全て贋作とすり替えて売ってしまうという、もはや犯罪行為だ。

 里美は、憲一と椿の会話から利明が愛人を銀行の副頭取に迎え入れたこと、さらに自分を妻にしたのは全て出世のためだったことを耳にしてしまう。つまりは愛より、金。トラコによる6つ目の嫌いな言葉「愛」という宣言とともに、里美もまた愛してるのは夫ではなく利明の金なのではないかと指摘する。 新頭取就任パーティー当日。里美は偽物のストラディバリウス、絵画、シャトーモリーをパーティーに集まった大勢の面前で粉々に破壊していく。宙に舞うシャトーモリーと足を滑らせて転倒寸前の里美。慌てて利明が救出したのはシャトーモリーだった。自分への愛は一欠片もないことを確信した里美は、津軽弁を全開にして、本物の価値も分からないくせにくだらない金の使い方ばかりしてる人たちと一緒にいるのはもうこりごりだと吐き捨てる。里美は上原家を飛び出し、連れ子の守(細田佳央太)と一緒にアパートで暮らす新しい日常を過ごしていくのだった。

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