『再婚ゲーム』人気の理由はスピード復讐劇? イ・ヒョヌクら変貌を遂げるキャストに注目
チン・ユヒの悪女っぷりを見事に披露したのはチョン・ユジン。悪女だからこそ抜群のプロボーションや妖艶さに人々は誘惑されてしまうのかもしれない。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』(2018年)、『ロマンスは別冊付録』(2019年)でヒロインの同僚や先輩、恋のライバル役として活躍していた印象がある。今回、犯罪に手を染めるなど線を超える悪役は初挑戦だという彼女は「激しい感情が多く後半になるにつれて目が痛くなった。呼吸からエネルギーまで目で表現した」と語り、モニターを通してでも目の充血が見えるほどだったと言う(※1)。失うものがない人間の恐ろしさを表現し、徹底的な悪女を演じ切ったチョン・ユジンは新境地を開く契機となった。
斬新なのは復讐劇にロマンスが盛り込こまれている点だ。それがヘスンに手を差し伸べる2人の男性の存在である。
一人目はベンチャー企業の代表イ・ヒョンジュ(イ・ヒョヌク)。誰もが彼の隣を狙う超上流会員だ。彼もひとり息子を育てるシングルファザーで初婚に失敗した経験から再婚する気はなかったが、ヘスンとの出会いで気持ちが揺れ動いていく。ヒョンジュ役のイ・ヒョヌクは『Mine』(2021年)で裏の顔を持ち昔の恋人と不倫をする財閥2世の役から、今回はヘスンを守りぬく頼れる男性に変身を遂げる。
二人目のチャ・ソクジン(パク・フン)はヘスンを忘れられない大学時代の元カレだ。ヘスンの事情を知り、そばで健気に支えている。ソクジン役のパク・フンは、『誰も知らない』(2020年)で演じていた強烈な悪役が記憶に新しい。キム・ヒソンと共演した『明日』(2022年)でも地獄の代表役というひと癖ある役どころだった。面白いのは二人ともこれまでと真逆なキャラクターを演じていること。このギャップに惹かれ、これまでと違った魅力を感じさせるのだ。ヘスンは最終的にどちらを選ぶのか、または誰も選ばないのかも気になるところ。
そして欠かせない人物なのは「レックス」の代表チェ・ユソン。“愛とは利益を生む時に限り存在する物質的なもの”と捉える結婚ビジネスは、チェ代表自身が生きてきたスタイルでもある。彼女の奥に潜む欲望は感情を一切出さないポーカーフェイスで隠され、どう転ぶかわからないスリルがある。チェ代表を務めたミュージカル女優のチャ・ジヨンの怪演からも目が離せない。復讐とは繰り返され終わりがないもの。またどこかで始まる『再婚ゲーム』に私たちは出会うかもしれない。
参考
※1.https://star.mt.co.kr/stview.php?no=2022072110560097480
■配信情報
『再婚ゲーム』
Netflixにて配信中
(c)Studio DAUN/Netflix 2021