『オールドルーキー』綾野剛演じる新町が現役復帰に挑む アスリートを支える家族の視点も

 泉実(稲垣来泉)の心の動きもリアルだった。大好きな父親が人生そのものであるサッカーを取り上げられ、そのことにショックを受ける。当初は現実を受け入れられなかったが、父の背中を追って地元のサッカークラブに入る。新町の夢の終わりを知って泣き崩れた泉実は、最終的に新町の引退試合で夢へのバトンを受け取る。夢を見る側から、今度は自分が夢をかなえる側へ。新町が伝えたかった「アイ・ハブ・ア・ドリーム」を、自分自身の言葉として受け止めたのが泉実で、役柄を深く理解し表現する稲垣の演技が出色だった。

 スポーツに限らず、終わりを決めるのは結局のところ自分自身だ。自ら決めたか否かにかかわらず、ゴールラインを受け入れたところから次の人生がスタートする。「こうなることはわかっていた」と社長の高柳(反町隆史)が話したように、新町は自身が入団テストをパスできないことを半ば悟っていた。アスリートとしての終着点を見定め、完全燃焼したはずの新町が最後に求めたもの。それは、同じゴールを目指す仲間たちと分かち合う歓喜の瞬間だった。その瞬間を達成することは選手としての立場を離れていても可能である。祝福に満ちた引退試合は、新町がこれから進んでいく未来を指し示していた。

 現役に別れを告げた新町は、いよいよスポーツマネジメントの世界にどっぷりと浸っていく。経験と純粋さを兼ね備えた“オールドルーキー”が受けた電話の主はサッカー日本代表候補の伊垣尚人(神尾楓珠)。波乱を予感させる新章の幕開けとなりそうだ。

■放送情報
日曜劇場『オールドルーキー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/
公式Twitter:@oldrookie_tbs
公式Instagram:oldrookie_tbs

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