オースティン・バトラーが“エルヴィス”になるまで 魅力の根源と変化に迫る

 オースティン・バトラー、今最もアツいハリウッド俳優の一人だ。『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』などの伝説のミュージシャンを描いた映画が近年立て続けにヒットしている中で、彼はエルヴィス・プレスリー役を勝ち取った。

 『エルヴィス』がついに7月1日に公開され、プロモーションのため、オースティン・バトラーと監督のバズ・ラーマンが来日。公開記念イベントのニュースを見て、バトラーの魅力に引き込まれた方も多いのではないだろうか。

 今回、エルヴィス役に大抜擢されたバトラー。1991年にアメリカのカリフォルニア州で生まれた30歳だ。10代の頃からエキストラとして、ディズニー・チャンネルやニコロデオンなど、キッズ向けのドラマに出演していた。スターへの登竜門とされるディズニー・チャンネルにおいては、マイリー・サイラス主演の『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』で、シーズン1と2のそれぞれ1話分に出演。セレーナ・ゴメス主演の『ウェイバリー通りのウィザードたち』にも、1話分に出演した。さらに『ハイスクール・ミュージカル』のスピンオフ映画『シャーペイのファビュラスアドベンチャー』に出演し、主人公シャーペイの恋の相手として大きな爪痕を残している。『ハイスクール・ミュージカル』のヴァネッサ・ハジェンズとも2011年から約8年ほど交際しており、彼女と一緒にいるイメージが強い人も多いはずだ。ここまでが、オースティンのキャリアの土台を築いた第1期であると言えるだろう。

 その後、ドラマを中心に役者としてのキャリアを大きく動かす時期に入っていく。ティーン向け作品から脱皮したバトラーは、2013年に『セックス・アンド・ザ・シティ』のスピンオフで、主人公キャリーの10代の様子を描いた『マンハッタンに恋をして〜キャリーの日記〜』に出演。『チャーリーとチョコレート工場』のアナソフィア・ロブ演じるキャリーの初恋相手セバスチャン・キッドを演じた。2016年には、壮大な映像と自然を映したドラマ『シャナラ・クロニクルズ』にて、ハーフエルフの主人公ウィルを、2シーズン20話に渡って演じ、人間以外の役にも挑戦した。

 これがきっかけとなってか、映画にも数多く出演することになる。リリー=ローズ・デップとハーレイ・クイン・スミス主演の『コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団』やNetflixオリジナル作品『エンド・オブ・ハイスクール』に出演し、同世代の俳優たちとの息の合った演技を見せた。また、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではシャロン・テートを狙うヒッピーのテックス役、ジム・ジャームッシュ監督の『デッド・ドント・ダイ』でもセレーナ・ゴメスとともにゾンビが行き交う町を訪れる若者を演じ、誰もが知っている俳優や監督たちとの共演を経験したことで、映画俳優としての地位も着実なものにした。ここまでが、エルヴィスになるまでの彼の道筋を作り出した、3つ目の区切りであると言えよう。

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