井浦新&尾野真千子、『こちらあみ子』公開に「寂しさを感じる」 絆を深めた撮影裏話も

 映画『こちらあみ子』の公開初日舞台挨拶が7月8日に都内で行われ、主人公・あみ子の父を演じた井浦新、母を演じた尾野真千子が登壇した。

 本作は、芥川賞受賞作家である今村夏子の同名デビュー作を映画化した作品であり、広島に暮らす小学5年生のあみ子の姿を描く。少し風変わりだが、純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを変えていくという物語だ。主人公のあみ子を演じるのは、応募総数330名のオーディションの中から抜擢された新星・大沢一菜。演技未経験で主演を務めることになった。

井浦新

 あみ子の父親を演じ、あみ子役の大沢を近くで見守ってきた井浦は、大沢の印象について「あみ子そのもの。僕は一菜の野生感が好きです」と語ると、母親役を演じた尾野も「野生だからね」と同意。続けて井浦は「カメラが回っていなくてもあみ子でいる。彼女がいると現場が明るくなって、眠くてもエンジンかかっちゃうんです。その場の空気を一気にあみ子化してくれる。衣装合わせではじめて会った時から“ただものじゃないあみ子が生まれてしまっているぞ”と感じました」と大沢の特別な魅力について語る。

 さらに尾野は「作り物ではない表情や仕草。虫を捕まえるあの“手”。普段からあの“手”、いたずらするときも、あんな目をしているし。私たちが普段から見ているあみ子がそのまま映画にいるから、不思議な気持ちになります」と話しており、撮影期間にとても深い関係を築いてきたことが感じられた。さらに尾野は、大沢との芝居について「自然なあみ子を崩してはいけないプレッシャーを感じつつも、すごくワクワクするんです」と語る。自然体の大沢をひきたてて芝居をしていこうというベテラン陣の熱い思いが伝わってきた。

尾野真千子

 さらに森井勇佑監督との撮影について、井浦は「この作品での森井監督も、あみ子のようだったんです。二人はいつも一緒で、あみ子が走れば監督も走って、一緒に叫んで、そういう二人でした」と振り返る。そこに尾野が「同じものを見ているんでしょうね」と優しく声をかけることで、井浦と尾野があみ子の両親として向き合ってきた時間を感じさせた。加えて井浦は森井組の現場の特徴として「あみ子時間が流れていたよね。あみ子の機嫌が悪くなったら撮影をやめて様子を見て、お昼寝した時はみんなで休憩して」と撮影の裏側を明かす。「いいルーティンでした」と尾野も振り返り、『こちらあみ子』らしい空気感の中で撮影が進んでいたことが伝えられた。

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