新井順子P×塚原あゆ子Dに聞く、『石子と羽男』制作秘話 キャストとのタッグは一期一会

赤楚衛二は「“天然素材”」

――大庭蒼生役の赤楚衛二さんの起用理由についても聞かせてください。

新井:『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2020年/テレビ東京系)を観ていたらマネージャーさんが写真集を持ってきてくれて、「なんか赤楚さんいいんじゃない?」って。新入社員のような初々しい役が多いけど、でもご本人は素朴で硬派な印象でご本人の良さを出すには、大庭役がぴったりだなと思いました。

――実際にお会いになった印象は?

塚原:“天然素材”って感じかな……すごく素敵な人ですね。こんなに“天然素材”という言葉がぴったり合う人っているのかしらって思うぐらい。何か一言言いに行くたびに、赤楚さんのリアクションに心が洗われるというか。芸歴もあってこれだけお仕事をされてきているのに、まだその感想が出るのは素晴らしい才能だなと思いますし、尊敬します。

――お芝居面についてはいかがですか?

塚原:赤楚さんは、本当にハッとさせられる演技をするんですよ。言葉を選ばず言うと、子役にびっくりさせられるような感覚というか、染まっていない想定外のリアクションをする。ご本人の素が、擦れてないんでしょうね。頭で考えて芝居するタイプじゃなくて、きっと気持ちで動いてるんだろうなと思います。頭で考えたリアクションをされても、つまらないじゃないですか。心で芝居している感じが、すごく素敵です。

――塩崎啓介役のおいでやす小田さん、潮綿郎役のさだまさしさんのキャスティング理由にも興味があります。

新井:小田さんは、『最愛』のときに塚原さんが「おいでやす小田さんにツッコまれたい」と言っていて。私もファンで、ただ小田さんが好きっていう公私混同です(笑)。さださんは、この番組的に遊び心を出すためにも多方面に才能がある人がいいかなと思ったので、連ドラ初レギュラーだとは知らずにお願いしました。いろんな人に「なんでさださん?」と聞かれたし、初めて本人にお会いしたときにも「なんで俺?」って言われましたけど(笑)、私にとってはそんなに違和感はなくて。「できないよ」と言っていましたけど、めちゃくちゃ自然で、芝居なのか、素なのか、みたいなお芝居をされますね。

塚原:いい意味で、さださんの懐の深さに抱かれる現場です。さださんがその一言を言うからいい、ということもあるし、想像以上に沁みる。新井と一緒にコンサートにも行かせてもらったんですけど、「私、こんなに感受性が豊かだったかしら?」と揺さぶられる何かがあるんです。小田さんとの掛け合いもありますが、おふたりともアドリブに長けていて、すごく自然で素敵です。

――現場で展開されることも多いんですね。

塚原:そうですね。台本を設計図に化学反応を楽しむものなので、よーいドンとなったらもう2人の世界。1人が間違えば間違ったまま事は進んでいきますし(笑)、面白いです。

キャストとのタッグは「神様のタイミング」

――前回、新井Pは『最愛』(『わたし、定時で帰ります。』に次ぐ起用)の吉高由里子さんに続いて、今回の有村さんもお二人にとっては『中学聖日記』以来の再タッグです。「もう一度このキャストとタッグを組みたい」と思う決め手のようなものがあるのでしょうか?

新井:決め手はないですよ。企画書を作るときにどんなキャストがいいかなとイメージしたときに、『最愛』では吉高さんで、今回は有村さんだったと。

塚原:ご一緒したみなさん、「もう一度」と思います。でも、どうしても一期一会になるんですよね。だから、本当にラッキーでタイミングが合った人とやれているだけです。「パート2をやりたい」と言ってもできないし(笑)、本当に神様のタイミングですね。

――撮影中も、常に「こんな役をやったら面白そう」と考えているんですか?

塚原:そうですね。それに本人とも話しますよ、「次はどんな役がやりたい?」って。

新井:あとは、他の方の作品を観ているときに、この人はこういう作品をやれば面白いじゃないかなと考えることも多いです。今回の中村さんはまさに、「最近かっこいい役ばかりやっているけど、私は『メグたん』の中村倫也が見たいんだ!」って(笑)。

――(笑)。第1話では“カフェのコンセントで充電していたら訴えられた”という事案が描かれますが、各話のテーマはどのように選ばれたのでしょうか?

新井:「なんか最近、ニュースで聞くなぁ」というような、2022年の夏にお届けするのにふさわしいテーマを選んでいます。もしかしたら、自分も気づかないうちにやっちゃいそう、みたいなものも。物語には時々ラブもありますので、よろしくお願いします!

■放送情報
金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』
TBS系にて、7月8日(金)スタート 毎週金曜22:00~22:54放送
※初回15分拡大
出演:有村架純、中村倫也、赤楚衛二、おいでやす小田、さだまさし
脚本:西田征史
演出:塚原あゆ子、山本剛義
プロデュース:新井順子
編成:中西真央、松岡洋太
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/
公式Twitter:@ishihane_tbs
公式Instagram:@ishiko.to.haneo_tbs

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