『彼女、お借りします』雨宮天&悠木碧の見事な感情表現 2期は実写版と合わせた楽しみも
原作漫画で描かれた魅力的なキャラクターの様々な“顔”は、アニメ化に伴い声優の演技によって彩りが加えられる。
おしとやかで礼儀正しい水原の顔が見られるシーンにおいて、水原を演じる雨宮天の声のトーンは高くなり、しっとりとした声を水原の台詞に添える。作中に登場する多くの男性がときめきを覚える声とは対照的に、和也に怒りを向ける場面では声のトーンが低くなり、キレのいい声でまるでマシンガンのように、罵倒の言葉を次々とぶつける。
また、おとなしくかよわそうな麻美の顔が見られるシーンでは、麻美を演じる悠木碧が口にする台詞の語尾は伸び、言葉の1つひとつが丸みを帯びているかのような印象を受ける。しかし、麻美の奥底に眠る感情が漏れる場面では低いトーンの声となり、数少ない台詞からたしかな重みを感じるのである。
原作漫画では、各登場人物や場面によって台詞のフォントが使い分けられている。アニメ版の『彼女、お借りします』は、原作の各エピソードとともに、登場人物の発する台詞やキャラクターも映像作品として丁寧に表現した作品だといえる。
アニメ第2期と同時期に、実写ドラマ版の『彼女、お借りします』がABCテレビ、テレビ朝日にて放送が開始された。主演はなにわ男子の大西流星が務め、水原役を桜田ひより、麻美役を秋田汐梨が演じる。“自分自身を演じる”人物が多く登場する原作を、アニメ、実写ドラマ作品としてそれぞれどのように表現するかといった点にも注目すると、本作の世界観をより楽しめるかもしれない。
■放送情報
『彼女、お借りします』第2期
毎日放送、TBSテレビ、AT-Xほかにて放送中
原作:宮島礼吏(講談社『週刊少年マガジン』連載)
監督:古賀一臣
シリーズ構成:広田光毅
出演:雨宮天、悠木碧、東山奈央、高橋李依、堀江瞬
キャラクターデザイン:平山寛菜
音楽:ヒャダイン
音響監督:髙桑一
美術監督:秋葉みのる
色彩設計:石黒文子
撮影監督:坂井慎太郎
編集:中葉由美子
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
アニメーション制作協力:スタジオコメット
(c)宮島礼吏・講談社/「彼女、お借りします」製作委員会2022