綾野剛主演『オールドルーキー』はサッカーファンも楽しめる? 注目ポイントを解説
サッカー界のレジェンドが出演 細部にまでこだわった日本代表戦
綾野と大久保のケミストリーで生み出された新町を、最高の舞台がさらに輝かせる。今作の見どころのひとつである日本代表戦。新町のサッカー人生最良のときを、大久保、元日本代表の加地亮と坪井慶介、アテネオリンピック代表の那須大亮、GKの秋元陽太の豪華メンバーが日本代表のチームメイト役として彩る。
このシーンは2009年に行われたFIFAワールドカップ南アフリカ大会の出場権をかけたアジア最終予選がモチーフとなっているそうだ。選手役が身にまとっている日本代表ユニフォームは当時と同じもの。実はこれは非常にレアなことだが、今年は日韓ワールドカップから20周年の記念の年であり、11月に控えるワールドカップカタール大会を盛り上げたいと考える日本サッカー協会のバックアップにより実現した。さらにボールも2009年のアジア予選で実際に使われていたモデルを使用するなど、かなり再現性が高い。
撮影は日本代表戦を数多く開催している埼玉スタジアム2002で行われた。現実の2009年アジア予選は4勝3分1敗と苦戦したのだが、ホームで唯一勝利を挙げたのが埼玉スタジアム2002でのバーレーン戦(1-0、得点者:中村俊輔)だった。そこまでリアリティを追求したかは定かではないが、サッカーファンはそんな記憶を重ねながらドラマを楽しむことができるし、サッカーに詳しくなくともスケール感あるサッカーシーンを堪能できるはずだ。
埼玉スタジアム2002で撮影された写真には、実際の日本代表戦で掲げられている複数の横断幕が映り込んでいるのが確認できる。そこまでやるのかと驚くような、サッカーへのリスペクトが感じられる演出が随所に見られる。是非チェックしてほしい。
引退したJリーガーのリアル
『オールドルーキー』は引退したアスリートのその後にスポットを当てた物語だ。憧れのスターがどのような人生を送っているのか。スポーツファンならずとも気になるところだが、その実これまではあまり光が当たることはなかった。
Jリーガーの平均引退年齢は26歳前後と言われている。幼い頃からサッカー中心の生活を送り、一般社会からは隔絶された世界で過ごしてきたプロ選手は引退後、主に二つの問題に直面する。一つは社会人としてのスキル不足だ。そしてもう一つが、自身の誇りであったサッカーを失い、自らのアイデンティティが揺らぐという心理的側面だ。
第1話の予告動画には新町が一般企業で働く場面がある。パソコンを使えるかを問われ、「指一本なら」と返答したり、コピー機を使えずに女性社員からあきれられたりするシーンが描かれていたが、全く誇張ではない。筆者はスポーツライターとしてアスリートと接する機会も多いが、電話の応対、名刺交換の仕方といった新入社員研修で学ぶ程度のビジネスマナーすら身についていない選手も少なくない。
ただ、こうしたビジネススキルはやる気になれば身につけることができる。むしろやっかいなのは後者の方だ。失ったアイデンティティは、代わりになる「何か」を見つけることでしか取り戻すことはできないからだ。
新町はスポーツマネジメントという新たなステージでさまざまな困難を乗り越えながら、サッカーに代わる新たな“誇り”を手にすることができるのだろうか。いちドラマファン、いちサッカーファンとして、新町の後の人生を応援したい。
■放送情報
日曜劇場『オールドルーキー』
TBS系にて、6月26日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
※初回25分拡大
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式Twitter:@oldrookie_tbs
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