『マイファミリー』の余韻から抜け出せない 改めて突きつけられた俳優・二宮和也の凄さ

 そして、その中心にいたのは主演の二宮和也。二宮自身、「僕はみんなで一緒に物を作っていきたいタイプ」と語っていたが、どの共演者に話を聞いても、目に浮かぶのはフラットにそこに存在し、他愛ない話で共演者をリラックスさせ、重いシーンが多い現場のバランスを保つ二宮の姿だった。

 もちろん、人柄だけでなく確かな演技力でドラマを牽引していたことは言うまでもない。過去には日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞するなど芝居に定評のある二宮だが、インタビューで耳にした「天才を実感した」(高橋メアリージュン)、「2本の足で地面に立ってお芝居をするとはどういうことなのか、二宮さんの芝居を見て考えた」(迫田孝也)といった共演者からの生の声、そして、画面に映し出されたあまりに自然体の“鳴沢温人”に、「やっぱり俳優・二宮和也は凄いのだ」と改めて突きつけられたような気さえした。

 最終回直前に、飯田プロデューサーが「このドラマはスケールの大きい話ではなくて、すごく小さな話」と語っていたが、確かに『マイファミリー』にはCGを駆使した大迫力の映像や大掛かりなトリックなどは一切出てこない。それでも多くの視聴者を惹き付け続けた理由は、予測不能のストーリー展開に加え、二宮をはじめとする役者たちの演技のぶつかり合いにあったことは間違いない。

 たとえば、第8話の東堂の激白シーンにおける濱田岳の熱演、それを受ける多部や賀来賢人の表情一つひとつにも、視聴者に芝居であることを忘れさせる圧倒的なものがあった。そんなふうに、二宮と同世代の共演者は芝居を思い切り楽しみ、また演技経験の浅いキャストは先輩俳優から多くを学び、一方でベテラン勢は若いパワーに身を委ねる。そうやってバランスよく描かれた芝居の輪が、『マイファミリー』にしかない空気感を生み出しているように見えた。

 正直、取材スタート当初は「物語の展開を知ったら楽しみが半減する」とも思っていたのだが、それはまったくの杞憂だった。毎週日曜日には、想像を何倍も超える役者陣の表現力に心を揺さぶられ、物語にどっぷりと没入するのがルーティーンに。つまり、先を知っているかどうかなんて、この脚本と座長、役者が揃ったドラマには関係なかったのだ。

 脚本家・黒岩勉が描いた設計図をもとに、制作スタッフ、そしてキャストというそれぞれのパーツが精巧に組み合って完成した『マイファミリー』。怒涛の取材祭りは無事に完走したが、その余韻からしばらく抜け出せそうにない。

参照

https://realsound.jp/movie/2022/04/post-1004635.html
https://realsound.jp/movie/2022/05/post-1034160.html
https://realsound.jp/movie/2022/06/post-1045191.html
https://realsound.jp/movie/2022/04/post-1005758.html
https://realsound.jp/movie/2022/04/post-1015306.html
https://realsound.jp/movie/2022/05/post-1024340.html

■配信情報
日曜劇場『マイファミリー』
TVer、Paraviにて配信中

■リリース情報
『マイファミリー』
12月7日(水)Blu-ray&DVD発売
価格:DVD-BOX ¥22,990
   Blu-ray BOX¥29,040
  (10%税込)
製作著作・発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント

出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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