『ちむどんどん』歌子に立ち上がった“フラグ” 優子はなぜ早く彼女を検査させなかったのか
ただ、もし彼女が亡くなってしまうのであれば、それは非常に残念なことだ。歌子というキャラクターはこれまで他の登場人物と比べて、あまり深く注力して描かれてこなかった。唯一、彼女の突出した「歌」という点、そしてそれを活かすためであろう上白石萌歌という配役も、これまで2、3曲しかレパートリーがなくてなかなか活かしきれていない印象である。それでも歌子の死は、ある意味いまこの物語に……というより、優子というキャラクターの転換に必要なことかもしれない。これまで、どら息子を疑うことも叱ることもなく、金銭的援助をしていた優子。その金銭は、歌子に使われることはなかった。今、彼女が後悔していることはこれまでの優子への、というより彼女の子育てにおける言動の過ちでもあるのだ。まず、賢秀がまともになるには彼を今の彼にしてしまった優子から、叱咤を受けたり援助を切られるくらいのことをされる必要があるし、そうなるにはまず、優子が自身の間違いに気づかなければならない。その間違いに気づくきっかけに、歌子の死が“使われる”可能性も否めないのである。ただ、もしそんなことになってしまったら、かなり悲劇的な展開だ。
父・賢三の突然死も実は関係があったりしないのか、気になるところは山ほどあるこの病気問題。上白石萌歌の好演もあり、やはり彼女には生き延びてほしい。
参照
「沖縄における主要感染症疾患の戦後における消長」照屋寛善
「中部病院卒後臨床研修の概要・50年の歴史」https://chubuweb.hosp.pref.okinawa.jp/unihawaii/archive/aramashi/
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK