『ちむどんどん』二ツ橋の微笑みは父性か、それとも仮面か 高嶋政伸の“穏やかな料理長”像

 暢子がカルパッチョソースに醤油を加えるアレンジをしたときも、イライラした素振りを見せることなく「新しい試みも大切ですが、基本は大事に。リピートしてくれるお客様は、フォンターナの味を食べたいと思って通ってくださっているんです」と真っ直ぐ語りかけた。

 その時はあまり響かなかった様子だった暢子。友人の和彦(宮沢氷魚)や沖縄県人会会長の三郎からも基本が大事とアドバイスをされるも、腑に落ちない。しかし、おでん作りをする中で、父・賢三(大森南朋)と足てびちを料理したときに「基本の出汁は当たり前で地味だけど、それが一番大事」と言われたことを思い出す。

 二ツ橋と和彦、鶴見の沖縄県人会会長の三郎のアドバイスが線でつながり、暢子は一つ料理人として成長を見せた。父を早くに亡くし、幼さを残した暢子にとって、周囲の友人や大人たちが暢子があまり触れてこなかった“父性”を担っているのかもしれない。高嶋が演じる二ツ橋もまた、そんな一人なのだろう。

 近年、高嶋は悪役を演じることが多かった。そのため、視聴者からは「本当は何か裏があるのでは……?」と勘繰る声も見られる。二ツ橋を演じるときは、一貫して静かに抑えるような演技を見せてきた高嶋。このまま暢子の成長を近くで見守っていてほしいが、どうなるのか。

※高嶋政伸の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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