『はい、泳げません』綾瀬はるかが全ての“できない”人の女神に 踏み出す勇気をくれる一作

 そこに現れる救世主が綾瀬はるか、もとい静香コーチです。静香コーチは“できる人”でありながら、どうすれば泳げるようになるかをロジカルに説明することができます。そして、泳ぐことに後ろ向きな小鳥遊を時に優しく、時に叱咤しながらリードしてくれるのです。

 原作はノンフィクションですが、映画化にあたりドラマ的な脚色が加わっているため、本作の綾瀬はるかはどこか人間離れして見える瞬間があります。泳げない小鳥遊だけでなく、全ての“できない人”に寄り添ってくれる女神のように見える瞬間が。

 劇中では静香コーチがかつて事故に遭い、歩くことすらままならなくなった際のエピソードが語られます。それでも、再び体を水につけた瞬間を「細胞のひとつひとつが喜んでいた」と表現する彼女は、“できない人”の痛みやもどかしさを知った上で「水の中の景色(=できる人に見えている世界)」を見せようとしてくれるのです。

 もしあなたの中に長年“できない”と認識していることがあるのなら、それは今からだってやるべきことなのかもしれません。そんな新たな第一歩をあと押ししてくれる静香コーチに、劇場まで会いに行ってみてはいかがでしょうか。

■公開情報
『はい、泳げません』
全国公開中
出演:長谷川博己、綾瀬はるか、伊佐山ひろ子、広岡由里子、占部房子、上原奈美、小林薫、阿部純子、麻生久美子
監督・脚本:渡辺謙作
原作:高橋秀実『はい、泳げません』(新潮文庫刊)
主題歌:Little Glee Monster「magic!」「生きなくちゃ」(Sony Music Labels Inc.)
配給:東京テアトル、リトルモア
製作プロダクション:リトルモア
製作:東京テアトル、U-NEXT、ホリプロ、ヒラタオフィス、リトルモア
(c)2022「はい、泳げません」製作委員会

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