ヴィランではなく”ヒーロー”として描かれる DC映画『ブラックアダム』特報映像解説

 今回の予告編でわかるのは、ブラックアダムが過去に侵略・虐殺を受け愛する者、息子等を失った哀しい過去があったことがわかります。それ故超人として生まれ変わり恐ろしい破壊神となって現代に蘇ったという感じでしょうか? そしてこの予告編にはブラックアダム以外のヒーローが出ていることがわかります。予告編でいうと50秒目ぐらいからですが「この世界には良いヤツ“ヒーロー”(がいる)」というセリフと共に、翼を持った超人、仮面を被ってかけてくる巨人、黄金の仮面を被って不思議な技を見せる怪人、そして緑色のつむじ風。翼はホークマン、巨人はアトムスマッシャー、仮面はドクター・フェイト、そしてつむじ風はサイクロンというヒーローで彼らはJSA(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)というヒーロー・チームを結成しています。

 この予告編の57秒目で飛行メカにのった集団に「(この世界には)悪いヤツ“ヴィラン”がいる」というセリフが被るので彼らが本作のメイン・ヴィランでしょう。宇宙の神々(ニューゴッズ)のテクノロジーを使った武器で暴れまわる“インターギャング”という過激集団かと思われます。予告編上の流れから、インターギャングと戦うためJSAがブラックアダムをスカウトする、という感じでしょうか? その説得をするのが仮面の男ドクター・フェイトですね。演じているのはなんとピアース・ブロスナン(元『007』です)。このドクター・フェイトは魔法使いでもあります。予告でもミラー次元っぽい技使ってますよね。DC映画におけるドクター・ストレンジ的ポジションか? と、ここまで書くとブラックアダム=ヒーローっぽいですが、予告編の1分ぐらいからのホークマンとのやりとりで、ホークマンが「ヒーローは誰も殺さない」と言うと、ブラックアダムは「俺は殺(ヤ)る」と言っています。つまりブラックアダムは敵や悪に容赦しないわけです。そう、この映画でブラックアダムはヴィラン(悪役)ではない。かといって清く正しいヒーローではない。なのでドウェイン・ジョンソンはブラックアダムのことを「ヒーロー世界における“ダーティ・ハリー”」「ヒーローではなくアンチ・ヒーロー」と言っています。なんとなく『ヴェノム』っぽい立ち位置かもしれません。注目したいのはドラマ『Lの世界』(Showtime)のカルメンを演じていたサラ・シャヒの登場シーンがありますが、彼女はブラックアダムの回想シーンと現代のシーンに出てきます。つまり考えられるのは彼女はかつてのブラックアダムが愛する人であり、彼女もまた現代に転生している“訳あり”の人なのかもしれません。

 コミックではJSAはジャスティス・リーグの前から活躍していた組織なので、この世界の他のヒーローたちとのリンクはどうなっていくのか。特に『ワンダーウーマン1984』がエジプトに触れていたり『ジャスティス・リーグ』のヴィラン、ステッペンウルフやダークサイドとインターギャングの関係はどうなるのか? 等も楽しみです。

 監督はドウェイン・ジョンソンと『ジャングル・クルーズ』で組んでいるジャウム・コレット=セラ。しかしこの人は『エスター』等のホラー・スリラー畑の人だし、またこの映画は『シャザム!』同様、ワーナー・ブラザーズグループのニュー・ライン・シネマ製作。ニュー・ライン・シネマは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を当てたところです。ホラー系の製作陣なので、ちょっとダークで怖い要素もあるかもです。ドウェイン・ジョンソン自ら「俺はブラックアダムを演じるために生まれてきた」と言っているぐらいだし、本作の製作には彼の映画会社セブン・バックスも入っている熱のいれよう! 12月の公開が楽しみです。ドウェイン・ジョンソンの肉体とスーツが一体化していて本当に強そう。ブラックアダムのコスプレを考えている方は、いまから体を鍛えましょう!

■公開情報
『ブラックアダム』
12月2日(金)全国ロードショー
監督:ジャウマ・コレット=セラ
製作総指揮・主演:ドウェイン・ジョンソン
出演:ピアース・ブロスナン、サラ・シャヒ、ノア・センティネオ、オルディス・ホッジ、クインテッサ・スウィンデル
配給:ワーナー・ブラザース映画
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