『マイファミリー』は二宮和也の新たな代表作に 本人の持つ性質も影響した鳴沢温人像

 もちろん、二宮ただ一人だけでこれを実現できたわけではない。ヒロインを演じる多部未華子や、友人役の賀来賢人に濱田岳、温人らにとって味方であり敵でもある刑事役の玉木宏の功績も大きい。彼らの好演が温人の重たい装飾を解いていった側面もあるはずだ。現在は温人を中心とした物語ではなく、登場人物の誰もがバトンを持っているといえる物語が進行している。周囲の者たちに渡った物語を、温人を演じる二宮はどのように回収し、どう導いていくのだろうか。

 二宮といえば冒頭に記したように、“演技派”と称される俳優だ。映画やドラマに出演する以上は演技ができて当然なわけだが、俳優にはタイプがある。自身の個性を押し出していく者がいれば、二宮のように技巧的に演技を実践する者もいる。今クール放送のドラマでは、彼の代表作である映画『検察側の罪人』(2018年)で共演した木村拓哉が『未来への10カウント』(テレビ朝日系)で主演を務めていたほか、ジャニーズ事務所の後輩である高橋海人や松村北斗、道枝駿佑に有岡大貴などもドラマに出演。作品のジャンルも演じるキャラクターの性質もバラバラだ。この中では二宮がもっともアイドル要素の薄い役どころに挑んでいるといえるのではないだろうか。思い返せば彼は若い頃から、俳優として独自のキャリアを形成してきた。カリスマ的存在として共演者の中心に立つ木村とはまた違うポジションを築いている。

 嵐の活動休止後、俳優としては今年の頭に放送された『潜水艦カッペリーニ号の冒険』(フジテレビ系)に二宮は座長として顔を見せているが、連続ドラマへの登場はこれが初。今後は主演を務めた『TANG タング』や『ラーゲリより愛を込めて』といった大作映画の公開が控えている。『マイファミリー』で彼が毎週多くの視聴者に与えた興奮は、(映画はすでに撮影済みとはいえ)間違いなく今後の俳優活動にも引き継がれていくのだろう。

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』(c)TBS
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、凛美、山崎莉里那、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、蓮佛美沙子、森脇英理子、珠城りょう、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
製作著作:TBS
(c)TBS

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