津田健次郎、柴犬の「ワンワン」にセリフを提案 人間じゃない役に「もう何でも来いです」
現在放送中の水曜ドラマ『ナンバMG5』(フジテレビ系)で柴犬の松の声を演じるのは、今最も引っ張りだこな存在、津田健次郎だ。声優としては近年、TVアニメ『呪術廻戦』の七海建人役やNetflixオリジナル『テルマエ・ロマエ ノヴァエ』のルシウス・モデストゥス役で知られ、2021年第15回声優アワードにて主演男優賞を受賞。アニメの声優に限らず、洋画はアーミー・ハマーやアダム・ドライバー、コリン・ファレルの吹き替えを担当し、自身もドラマ作品に俳優として出演するなど、あらゆる場で活躍している。今最も忙しい人物の一人である彼に、今回『ナンバMG5』への出演、そして中学時代の思い出から今後の展望まで話を聞いた。
「ワンワンワンワン」に合わせてセリフを提案?
――まず、津田さんの思う『ナンバMG5』の魅力から教えてください。
津田健次郎(以下、津田):様々な要素がある部分が個人的には好きです。家族愛や、友情、青春、恋愛と、いろいろな要素がコメディとしてしっかりと成り立っているというのは、本当に面白いなと個人的には思っていまして。間宮さん演じる難破剛は、“本来の自分じゃない自分”として、家族の中でも苦しさに近いものを少し抱えている。そんな彼の自己解放の物語というか、「本来の自分を表に出す」「取り戻す」という割と深いテーマが根底に流れているように感じます。家族の距離感もすごく近いけど、実はお互いをあまり理解していない部分もあって。そこが今後どうなっていくのかも気になりますね。多様性などの現代的なテーマをすごく気楽な気持ちで笑いながら観ることができるという。本当に豊かな作品だなと思っています。「いやぁ、いいなあ!」って観ています(笑)。
――第1話の放送時点では松の声が津田さんとは発表されていませんでした。発表後、周囲の反応はいかがでしたか?
津田:正直、第1話でバレていたんですけど(笑)。「あれ? 津田くんだよね?」とよく言われましたが、情報が解禁されていなかったので「いや、どうでしょう?」ってごまかしていました(笑)。他の現場でも、アニメのスタッフさんに、「『MG5』観ているよ。面白いよね」とか、何よりも「松、かわいいねぇ」ってみんなニコニコしながら言ってくださるので、本当にありがたいですね。
――いろいろな役を演じられてきたと思うのですが、“実際の犬”の吹き替えは初めてですね。
津田:はい。なので、最初にお話をいただいた時に、「え? 犬ですか?(笑)」って。とても面白い試みだなと思いました。犬に声をあてている人は少ないんじゃないですかね。北大路欣也さんと僕ぐらいだと思います(笑)。アニメーションとかをやっていると、口パクで合わせることが仕事の1つですが、今回の場合そこまで正確な口パクではないので、その辺の勝手は違いました。とはいえ、一応映像を見せていただいて「今これ3回ワンワンワンと言ったな」と確認したらセリフを見て、「じゃあここで切れば、全部で3回に分けられるな」とか考えていますね。
――では、津田さんに委ねられていたところが多いんですね。
津田:そうですね。かなりセリフが増えていると思います(笑)。台本に書かれていないことも、結構言っているので。「ワンワンワンワン」と言って走ってきているシーンでは、「何言いましょうかね?」と現場でご相談させていただきながら、「じゃあこんな感じのことをちょっとテストで言ってみます」と。それでうまくハマれば、「じゃあそれでやっていきましょう」みたいな。なので、台本に書かれていないことが倍くらいある気がしますね(笑)。本当に本広克行監督がおおらかで、めちゃくちゃ優しくて、すごく褒めてくれるんですよ(笑)。「津田さん面白いですよ!」って言ってくださるので、とても気分よくやらせていただいていますね(笑)。本当に楽しくやらせていただいています。
――松を演じる柴犬の豆三郎くん、可愛いですよね。
津田:本当にかわいいですよね。一生懸命なんです。実際に会ったときも、もう目がくりくりで……おとなしくいい子にしているんです。本当にいい子で、あいつ最高です!(笑) 犬は自分も飼っていたことがあるので。
――ちなみに今回は柴犬ですが、ご自身が犬になったら何犬になると思いますか?
津田:シェパードがかっこいいなと思っているので、理想はシェパードですが、残念ながらもう少し小さい……柴犬になりそうな気がします(笑)。しゅっとした犬がいいなぁ。ドーベルマンとかシェパードとか。
――松がこのドラマで果たしている役割、松という存在はこのドラマにどんな影響をもたらしていると思いますか?
津田:松が入ることによって、作品の豊かさがものすごく広がる気がしていて。もちろんコメディで笑えてほのぼのもしますが、喧嘩などのシーンもあって。そんな本作に松が出てくることによって、多分観てくださっている皆さん全員が、一気に和らぐといいますか。なおかつ、そこに松が一生懸命演技してくれることによってのコメディ要素も追加されていくので、とても大きな存在だなと思っております。
――公開中の映画『シン・ウルトラマン』でも外星人・ザラブの声を担当されるなど、本当にあらゆる生物を演じていますよね。逆にやってみたいことはなんですか?
津田:もう何でも来いですね、こうなってくると。特に人間じゃないものって、自由度が高いのでやはりすごく面白いです。その都度楽しめる気がするので、まずは振ってみてくださいと思っています(笑)。