本郷奏多はなぜ原作ファンから信頼される? 『テニスの王子様』から『鋼の錬金術師』まで

 だが、本郷が実写化作品に求められる理由はそれだけではないはずだ。2006年に公開された映画『テニスの王子様』では、挑発的で生意気なテニスの天才少年・越前リョーマを演じた本郷。あれから色んな俳優が舞台でリョーマを演じてきたが、15年以上経つ今もファンからは本郷の再演を希望する声が後を絶たない。『GANTZ』で西丈一郎を演じた際には、原作の再現度の高さが話題となり、未だに一部のファンから“西くん”の愛称で親しまれているほど。かなり辛口の批評を受けた実写版『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』でも、アルミンを演じた本郷は自身の身体能力に劣等感を抱きながらも芯の強さを感じさせる芝居で評判を得た。

【原作こそ至高】自分が演じたキャラの名シーンを勝手に選んでみた!【本郷奏多の日常】

 毎度、多くの人が驚かされる彼の作品や演じる役に対する解像度の高さ。そこに秘められた理由が、自身のYouTubeチャンネル「本郷奏多の日常」に投稿された動画「【原作こそ至高】自分が演じたキャラの名シーンを勝手に選んでみた!」にて明かされている。もともと大の漫画好きとして知られる本郷は、“原作ファンとしての視点”を何より大事にしており、演じるキャラクターの一番魅力的な部分を表現したり、アニメの印象が強い作品の場合は声優の台詞回しなどを研究しているという。原作至上主義、それこそ本郷が実写化作品に求められる理由だ。

 『鋼の錬金術師』で演じるエンヴィーも、原作では悪役でも随一の人気を誇るキャラクター。“嫉妬”を司るホムンクルス(人造人間)のエンヴィーは不気味だが、どこか哀愁も漂う。それは彼自身が人ならざる存在であることへの劣等感、そして人間への憧れを秘めているからであろう。完成披露試写会で「エンヴィーって、エドに突っかかっていくんだけれど戦闘能力が低いみたいな、憎たらしいんだけれど、どこか憎めない敵キャラというニュアンスを大切に、ちょっとした可愛らしさを意識しました」(※)と語った本郷は、そんなエンヴィーの本質を理解している。前作で死亡した松雪泰子演じるラストに変わり、ホムンクルスのまとめ役となるエンヴィーの活躍、そして本郷の溢れ出る原作への愛を劇場で見届けてほしい。

参照

※ https://nordot.app/898914039243390976?c=388701204576175201

■公開情報
『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』
『復讐者スカー』5月20日(金)、『最後の錬成』6月24日(金)2部作連続公開
出演:山田涼介、本田翼、ディーン・フジオカ、ディーン・フジオカ、蓮佛美沙子、本郷奏多、黒島結菜、渡邊圭祐、寺田心、内山信二、大貫勇輔、ロン・モンロウ、水石亜飛夢、奥貫薫、高橋努、堀内敬子、丸山智己、遼河はるひ、平岡祐太、山田裕貴、麿赤兒、大和田伸也、舘ひろし、藤木直人、山本耕史、筧利夫、杉本哲太、栗山千明、風吹ジュン、佐藤隆太、仲間由紀恵、新田真剣佑、内野聖陽
原作:荒川弘『鋼の錬金術師』荒川弘(『ガンガンコミックス』スクウェア・エニックス刊)
監督:曽利文彦
脚本:曽利文彦、宮本武史
企画・制作プロダクション:OXYBOT
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作:映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
(c)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (c)2022 映画「鋼の錬金術師2&3」製作委員会
公式サイト:hagarenmovie.jp
公式Twitter:@hagarenmoviev

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