『正直不動産』山下智久が回を重ねる度に魅力的に 永瀬財地の変化を見事に表現

 永瀬(山下智久)が、かつて営業で嘘をついていた理由が明かされた『正直不動産』(NHK総合)の第7話。永瀬の口から過去が赤裸々に語られ、キャラクターの魅力と共に演じる山下智久の芝居が改めて光る回となった。

 ミネルヴァ不動産が登坂不動産に送り込んだスパイが中島課長であると発覚。退職した中島に代わり、課長代理に抜擢されたのは永瀬だった。新たな業務が山のように舞い込む中で、永瀬は過去に行なってきた“嘘”ばかりの営業のクレーム対応にも追われることに。

 思うように仕事が捗らないことで、過去の行いを悔やむのであった。さらに、榎本(泉里香)は永瀬がデリカシーのないことを連発して傷つけたことをいまだ根に持っている様子。永瀬を金融商材の営業に同行させ、利用しようと企んでいた。だが結果として榎本は、永瀬が誠実な対応により信頼を得ていく姿を間近で見ることとなる。永瀬のことをもっと深く知りたくなってしまった榎本は「これから本気でいきますんで覚悟のほどを」と宣言。

 永瀬の魅力がはっきりと描かれた第7話では、改めてどんな生い立ちを経て今の価値観にまでたどり着いたのかが浮き彫りとなった。喫茶店で社長(草刈正雄)に救われたことがきっかけで登坂不動産への入社を決めた永瀬は、大学生のうちから宅建を含む数々の資格を取得し、営業マンとして希望に満ちて就職した。しかし営業トップの先輩の技を盗みながら成長していくうちに、あることに気づく。それは営業で1位を取るためには「客を人だと思わないこと」だった。目の前の相手が人でなければ情もわかず感情移入もなしで数字のことだけ考えられるというのだ。

 この衝撃の過去には月下(福原遥)も唖然。だが永瀬自身、はじめは嘘がつけないことに戸惑っていたものの、今では“正直”であることに誇りとやり甲斐を見出しているように見える。改めて真っ直ぐに客と向き合うことで、当時の自分には成し遂げられなかったものを得ようとしているのではないかとさえ感じられた。山下はそんな永瀬のひたむきさを真摯に演じる。今まで自身については多くを語らずにきた永瀬だが、山下が演じることで淡々とした中にも暖かさと誠実さがあることは伝わっていた。今回、そんな永瀬の過去を知ることで、我々はますます永瀬財地という男に夢中になってしまう。大学生時代のキラキラとした姿から正直営業にたどり着くまでの人生が描かれ、キャラクターはより深みを増した。

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