『マイファミリー』二宮和也が犯人と対面! 予定調和ではないキャラクター造形が魅力に

 「マイファミリー」は、誘拐犯のファミリーを意味していた。日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)第5話のラストシーンで、渡したはずの現金とともに温人(二宮和也)に届いたのは、「私たちは完全誘拐を実現するファミリーですから」という犯人の言葉だった。5月15日放送の『マイファミリー』第6話では、阿久津(松本幸四郎)の娘である実咲(凛美)の誘拐事件が発生。犯人はまたしても温人を交渉役に指名し、温人は阿久津夫妻と身代金の受け渡し場所に赴く。そこで目にしたのは、見覚えのある紺の軽ワゴンだった。

 目に見えない一線を踏み超えてしまうこと。誘拐はこの社会でまぎれもなく犯罪である。友果(大島美優)や三輪(賀来賢人)の娘である優月(山崎莉里那)を救い出すため、犯人との仲介役を担っていた温人は、気付かないうちに誘拐犯に踊らされていたようだ。億単位の大金を要求する犯人の狙いは金だけでなく、温人を味方に引き込むこと。すでに温人は警察の目を逃れて犯人に身代金を渡すという犯罪の片棒を担いでいた。決定的だったのが犯人からのキャッシュバックで、温人は無理やり共犯者に仕立てられた。

 温人自身は家族や友人のために駆けまわっているだけだが、周囲の人々は、そんな温人をただの被害者家族として見てくれない。阿久津の妻である絵里(森脇英理子)は、温人の様子から犯人との関係を疑い、警察の葛城(玉木宏)も、温人や東堂(濱田岳)、三輪の行動履歴を追う中で、新たなる誘拐事件が発生し、温人たちが警察に知らせず自分たちの手で解決したと推測する。温人が誘拐の共犯者であるという状況証拠がそろってしまっているのだ。

 「犯人の狙いは最初からこういう状況を作ること」。ノーリスクの完全誘拐を実現することを犯人は意図しており、そのために温人をターゲットにした。温人には、資金力や人脈があり、警察に頼らず自分たちで解決する力がある。それだけでなく、温人の横顔を知れば知るほど、犯人が温人を指名したことに特別な意味があるのではないかと思えてくる。未知留(多部未華子)が絵里に語ったように、温人には周囲の人の様子に気付く優しさがあって、犯人はそんな温人の性格を知って接触を図ったように感じられるのだ。裏を返すと、犯人は温人が知っている人間の可能性があり、声や姿を徹底して隠すことはこのことと矛盾しない。警察に通報されるリスクがある中、あえて社会的に知名度のある温人にアプローチしてきたこともこの可能性を裏付ける。これらは、トランクルームにいた人物の正体によって立証された。

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