『パンドラの果実』ディーン・フジオカが“科学の未来に賭けた”理由 VRの弊害とは
「ジョイン」開発者は、幼くして死んだ隆(大城龍永)という少年だった。亡き友人に会いたいという純粋な思いでひらめいた「ジョイン」。それを形にしたのは、ボディハッカージャパンのカール・カーン(安藤政信)だった。
小比類巻と最上は「ジョイン」のなかで隆と直接、話をする。「ジョイン」が原因で自殺する人がいること、ゆえに「ジョイン」を閉鎖しなければならないこと、そして、隆はもう死んでいること。隆は、誰かが死ぬことを望んでいるわけではない。しかし「ジョイン」がなくなること、忘れられてしまうことを真の「死」だと思う恐れを、最上は察していた。
「君はどこで生きてるの?」。最上が隆に問いかけた言葉に、強く答えたのは小比類巻だった。「たとえ『ジョイン』がなくなろうと、両親は隆をずっと大好きに決まっている。絶対に忘れない」ーーきっと、小比類巻も「本当は分かっている」のだ。VRとはいえ、亜美に触れることのできる最後のチャンスかもしれない扉を、小比類巻は開かなかった。亜美のいない現実に帰ることを、自ら決断した。
小比類巻は、お腹の上でうとうとする星来(鈴木凜子)に絵本を読み聞かせていた。亜美が、お腹のなかにいる星来に読み聞かせていた絵本だ。我が子を抱くこともできず、死んでしまった亜美。星来を愛おしいと思うほど、亜美に経験させてあげたかったこと、見せたかったものが、小比類巻の頭に浮かんでくるだろう。それもまた、彼が「科学の未来に賭けた」理由の一つかもしれない。
「コッヒーはどこで生きてるの?」。最上の言葉は正しく、小比類巻のためでもある。けれど、頭では分かっていても整理をつけることができないのが人間の感情であり、当事者にしか分からない痛み、葛藤なのだと思う。
■放送・配信情報
日本テレビ×Hulu共同製作 新土曜ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』
Season1:日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
Season2:Huluにて、6月配信
出演:ディーン・フジオカ、岸井ゆきの、佐藤隆太、西村和彦、本仮屋ユイカ、シャラ ラジマ、安藤政信、板尾創路、石野真子、ユースケ・サンタマリア
原作:中村啓『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』(光文社文庫)
脚本:福田哲平、関久代、土城温美
監督:羽住英一郎
主題歌:DEAN FUJIOKA「Apple」(A-Sketch)
チーフプロデューサー:三上絵里子、茶ノ前香
プロデューサー:能勢荘志、尾上貴洋、古屋厚、中村好佑
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