『ちむどんどん』黒島結菜と川口春奈の悲しい姉妹喧嘩 不器用な妹思いの良子が愛おしい

 『ちむどんどん』(NHK総合)第23話では、暢子(黒島結菜)の卒業が間近に迫る。暢子の親友・早苗(高田夏帆)は見事東京の大学に合格した。料理部の後輩たちと喜びを分かち合う早苗の姿を、暢子は浮かない顔で見つめていた。

 ボロボロジューシーを作る暢子はどこか気力がない。東京へ行くことが叶わない暢子のやりきれない気持ちがひしひしと伝わってくる。暢子は母・優子(仲間由紀恵)に、社会人になる前に東京へ遊びに行きたいとお願いするが、姉・良子(川口春奈)が「今年も名護の工場でアルバイト」「大体、東京に行くお金がどこにある?」と制止する。暢子と良子の口論は徐々にヒートアップしていく。たとえば暢子は語気が段々と強くなっていき「じゃあ、もううちのごはん食べないで!」と意地を張る。「もう嫌! ごはんとか作らない」という強い口調からは、自分がやりたいことが叶わないことへの怒りや悲しみをぶつける。暢子が東京へ行きたい気持ちを我慢し、無理に諦めようとしたことで、知らぬうちに鬱憤が溜まっていたのだ。夜中に物思いにふける悲しげな横顔もあいまって、暢子の境遇がとても切ない。

 学校で見せた暢子のふとした表情も切なかった。暢子は早苗から、暢子の気持ちを鑑みなかったことを繰り返し謝られる。「これからもずっと友達でいたい」という早苗の気持ちも、「はしゃいで当たり前さ」と早苗の合格を祝う暢子の気持ちも本物だ。けれど暢子は、立ち去る早苗を笑顔で見送った後、途端にしょんぼりとした顔になった。親友の思いを素直に受け止められない暢子の胸中が思いやられる。

 第23話は暢子の心情があらわになった回ともいえるが、良子の妹を思いやる一面にも心惹かれた。良子は暢子を東京へ行かせるために給料を前借りする。ただ、暢子とはいつもケンカばかりな上、前日の口論もあって、お金を渡しづらいよう。部屋にこもり、暢子にお金を渡す「練習」をしているのがなんとも愛おしい。それから「待って……おじさんたちが先?」とお金を渡すべき相手を気にしたり、「ケンカ売ってる?」「また怒られるかな?」と自分の物言いを確認したりする場面は、しっかり者の良子らしさが表れつつも、コミカルで面白い。

 物語の終わり、「たった一度の人生、やりたいことをやらせてあげたいんです!」と優子は賢吉(石丸謙二郎)らに頭を下げた。良子も歌子(上白石萌歌)も、やりたいことを見つけた暢子を応援している。明日、この話し合いは、どのような展開を迎えるのだろうか。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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