『劇場版シティーハンター』に願う“シティーハンターらしさ” 新作への期待と不安

『劇場版シティーハンター』への期待と不安

過去の映画とテレビスペシャルのように……

 新作制作決定のニュースは嬉しいが、『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』が大成功したからといって、再び『キャッツ・アイ』とのコラボが観たいわけではない。原作連載時からのファンである筆者は、過去の映画やテレビスペシャルのような作品が観たい。必要以上に媚びず、改変せず、終わりを感じさせない作品だ。

 『シティーハンター』には、『愛と宿命のマグナム』(1989年)、『ベイシティーウォーズ』(1990年)、『百万ドルの陰謀』(1990年『ベイシティーウォーズ』と併映)という映画と、『ザ・シークレット・サービス』(1996年)、『グッド・バイ・マイ・スイートハート』(1997年)、『緊急生中継!?凶悪犯冴羽リョウの最期』(1999年)というテレビスペシャルがある。

 ほとんどの物語が完全オリジナルストーリーで、その時代のハイエンドなテクノロジーを絡ませたものも多い。たとえば、『ベイシティーウォーズ』はハッキングを阻止する話だし、『百万ドルの陰謀』はラジコン爆弾を使う。『グッド・バイ・マイ・スイートハート』は山手線に爆弾を仕掛けたテロ、『緊急生中継!?凶悪犯冴羽リョウの最期』はCGと合成技術が冴羽リョウを追い詰める。原作にはない「今」を感じさせるテックとの絡みは、映画版とスペシャル版『シティーハンター』の魅力のひとつとなっている。

 どの作品も物語の流れは基本的にシンプルだ。『ベイシティーウォーズ』と『百万ドルの陰謀』に至っては、併映ということもあり、尺はどちらも45分程度しかないが、そこにギャグとシリアスとアクションとコメディ、さらにスリルといった『シティーハンター』の魅力の全てが詰まっている。

 原作に忠実な内容、特にクライマックスに近いミック編と海原編のアニメ化を望む声も多いが、それでは次の新作で『シティーハンター』が終わってしまうかもしれないし、その後も続けるとしても設定が宙ぶらりんになってしまいかねない。

 「新作は前回とはひと味もふた味も違ったものになりそうです」という北条司氏の発言から、内容が原作に触れるものになる可能性も期待されている(※)。

 だが、『シティーハンター 新宿プライベートアイズ』は、原作の終盤に登場する最大の敵・海原神が死んだあとの話になる予定だったところを、北条司氏が「『CH』を終わらせる気ですか」と待ったをかけて、時間軸を変更した経緯があることから、新作も原作とは絡ませない可能性が高いだろう。

 長々と書いてしまったが、熱烈なファンの筆者が願うのは、「『シティーハンター』は『シティーハンター』らしくあって欲しいということだ。他の作品の力を借りる必要もなければ、時代の流れに忖度し過ぎる必要もないと思っている。せっかく蘇ったのだから、いつまでもWILDに、ファンを喜ばせ続けてほしい。

※冴羽リョウの「リョウ」はけものへんに「寮」。

参照

https://realsound.jp/movie/2022/04/post-1004265.html

■公開情報
『劇場版シティーハンター』新作
公開日未定
原作:北条司
声の出演:神谷明
主題歌:TM NETWORK「Get Wild」
配給:アニプレックス

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