有岡大貴は手堅いプレイヤーだ 『インビジブル』『シン・ウルトラマン』を支える実力

 現在、放送中のサスペンスドラマ『インビジブル』(TBS系)にて型破りな刑事・志村貴文(高橋一生)に翻弄される若手刑事を演じ、封切り直後から賛否両論を呼んでいる映画『シン・ウルトラマン』では作品の中核を担っている有岡大貴。まさにいま、彼の俳優としての姿が輝きを放っているところである。

 まず、はっきり言っておこう。『インビジブル』における有岡の存在は地味である。彼は俳優である以前に「Hey! Say! JUMP」に所属するアイドルなわけだが、現在の彼を構成している最大のエレメントが感じられない。有岡が演じる磯ヶ谷潔は、“捜査一課所属の刑事であり若手のエース”という、肩書きにだけ目を向けるとインパクトのありそうなキャラクターだが、彼は“刑事ドラマによくいる登場人物”の枠に収まっている。しかし、こうあって当然だ。高橋一生演じる主人公・志村は、捜査のためなら暴力も辞さないアウトローであり、柴咲コウ演じるキリコ/インビジブルは、この志村さえも翻弄する本作のキーパーソン。2人が常識外れな存在のため、脇を固める俳優たちには手堅い演技が求められるはず。そんな“手堅い演技”ができる俳優として、有岡が配されているのだ。元々子役として活動していたというのもあるが、“アイドルとしての有岡大貴”ではなく、“俳優としての有岡大貴”を製作陣から求められ、彼はそれに正確に応えている。

 本作では高橋、柴咲をツートップとし、有岡の横には桐谷健太や原田泰造、堀田茜に大野いとらが作品を支える存在として並んでいる。高橋たちはやることなすことが派手なため、対照的な有岡たちは地味に映って正解だ。常識外れなキャラクターを演じる主役陣にとって、脇を固める者たちの“手堅い演技”がなければ彼らがスベることになり、そうなれば物語が空回りし、結果的に作品全体が白けたものになるだろう。何やら本作に対して否定的な声も多く上がっているようだが、俳優たちは与えられた役として物語世界の中を精一杯に生きている。ひるがえって筆者は、そんな彼らが手を取り合い懸命に生きる物語世界を否定したくない。

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