『インビジブル』で炙り出される“見えざる悪” 要潤の“表裏”を演じ通す器用さに注目

 爆弾が仕掛けられたビルから窓を打ち破って川に飛び込み命拾いしたり、粉塵爆発を起こして犯人の元から逃げたりとアクロバティックすぎる飛び技の数々を見せてきた刑事・志村貴文(高橋一生)。そんな彼が、今度は犯人をプールに沈め感電させるというまさかの手段を迷いなく選択した『インビジブル』(TBS系)第3話。

 今回登場した凶悪犯罪者“クリミナルズ”は“演出家”。遺体をアート作品に仕立て上げ展示するという極めて悪趣味かつサイコパスな人物のようだ。演出家もとい天野役の要潤は、“表の顔”と“裏の顔”を無理なく行き来するような器用さで、このなんとも難しい人物像を立体的に見せてくれた。

 この“演出家”の完璧主義、プライドの高さを逆手にとり、彼の殺害事件の犯人として敢えて志村が誤認逮捕される展開を作り出した犯罪コーディネーターでインビジブルのキリコ(柴咲コウ)。“演出家”からすればこれは紛れもない“盗作”であり、彼のプライドを大きく傷つけ苛立たせる行為だ。この時のやりとりを見ても、志村はキリコの意図するところを瞬時に正確に汲み取り、阿吽の呼吸で連携できているのが印象的だ。

 そして凶悪犯罪を起こすクリミナルズの事件現場には必ず何らかのメッセージ性が込められているわけだが、彼らは過去にどんなことがあり、何がきっかけでこのようなことに手を染めてしまうようになったのか、そのバックグラウンドが毎回気になってしまう。

 今回の事件では、看護師とキャバクラオーナーが殺害されたが、依頼者は例によって看護師が働く病院の院長だった。ここでもキリコが言う“見えざる悪”が炙り出される結果となった。

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