宇野維正の興行ランキング一刀両断!

3年ぶりのコナンvsマーベル対決 2022年GW興行の展望

 先週末の動員ランキングは、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が土日2日間で観客動員62万4000人、興行収入8億9400万円をあげて2週連続の1位となった。公開から10日間の累計動員は254万5879人、累計興収は36億4846万6350円。29日からのゴールデンウィーク期間に、ここからどこまで上積みできるかの勝負となる。

 昨年、一昨年と2年連続で緊急事態宣言中のゴールデンウィーク興行という悪夢が続いたわけだが、3年ぶりに「平時」として迎える今年のゴールデンウィーク興行では、同じく3年ぶりに『名探偵コナン』シリーズの対抗馬としてマーベル・シネマティック・ユニバース作品が公開される。2019年のゴールデンウィーク興行では、配給会社の壁を超えて『名探偵コナン 紺青の拳』と『アベンジャーズ/エンドゲーム』が共同のプロモーションキャンペーンをおこない、前者は最終興収93.7億円、後者は最終興収61.3億円といずれの作品も見事な成果を残した。

 今年のゴールデンウィークの真っ最中、5月4日に公開される『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、マーベル・シネマティック・ユニバース長編映画としては、今年1月に公開された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に続く作品。長期シリーズの集大成的内容だった3年前の『アベンジャーズ/エンドゲーム』のような結果を求めるのは無理筋だが、直近の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が興収40億円(41.7億円)を超えるヒットとなったことや、同作のポストクレジットシーンがそのまま『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の予告編だったように作品的にもダイレクトにつながることが予想されるなど、好材料も多い。3年前は『名探偵コナン 紺青の拳』を押さえて1週だけ『アベンジャーズ/エンドゲーム』が首位に立ち一矢を報いたかたちとなったが、今年はどうなるか?

 ところで、3年前のゴールデンウィークはコナンとマーベルの2強に負けじと、国内実写映画作品の『キングダム』が動員ランキングでは1度も首位にならないまま最終興収57.3億円を稼ぎ出すという大健闘をみせた。しかし、今年のゴールデンウィーク興行には、そこまでの好成績が期待できそうな国内実写映画は見当たらない。このところ、監督の性的加害に関する報道やパワハラに関する報道が続いている日本映画界。せめて、明るいニュースの一つでもほしいところだが。

■公開情報
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
5月4日(祝・水)公開 
監督:サム・ライミ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン/レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2022

関連記事