高橋一生の『インビジブル』までの軌跡を振り返る “直虎と政次”がタッグを組む喜び
『天国と地獄』と『インビジブル』のつながり
綾瀬はるかと高橋一生が、それぞれ刑事とサイコパスな殺人鬼(本当はそうではなかったが)の入れ替わり劇を演じた、森下佳子脚本のこの作品もまた、太陽と月の物語だった。終盤、高橋演じる日高は再び、1人で「地獄に行く」道を選ぼうとし、それは、『天国と地獄』におけるある種のバディとも言える刑事・彩子(綾瀬はるか)によって食い止められた。地獄でもないけれど天国でもない、不条理に満ちたこの世界を、2人は生き続け、もしかしたら今も、入れ替わり続けているのかもしれない。『転・コウ・生』の彼らもまた、そうだったように。また、この時、鍵となった男が名乗る名前は、「そんな人はいないよ」という意味の「クウシュウゴウ(∅)」。つまりは「インビジブル(目に見えないもの)」と偶然にも奇妙な繋がりを見せたりもする。
「言葉」にまつわる作品が多い高橋一生
さて、ここ2年間の高橋一生が演じてきた役柄は、ドラマのみならず、映画も舞台も、1作たりとも見逃せるものがなかった。『恋せぬふたり』(NHK総合)、『スパイの妻』(NHK/映画)など、テレビドラマ史・映画史的にも言及すべき作品は多いが、特に、「言葉」にまつわる作品が印象深い。
「例えば、人の人生を書物にして眺めることができる男と、過度に何かに固執する人々の物語」とも言えるドラマ『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)。舞台『天保十二年のシェイクスピア』(井上ひさし作)、『フェイクスピア』(野田秀樹作)は、共に多くのシェイクスピア作品の「言葉」、並びに様々な登場人物たちが高橋の声と身体を借りて息づいているような印象を受けた。そして、「フェイク」に満ちた混沌の中にある「本当」もまた、彼の中にあった。
4月16日にNHK BSプレミアムにて放送される藤本有紀脚本、川端康成原作のドラマ『雪国』も、高橋自身がインタビューでそう言及しているように、「登場人物それぞれに思いをはせるための“よりしろ”のような存在(※)」として、彼は川端康成の美しい「言葉」を今の世によみがえらせるのだろう。
『インビジブル』、「悪」と手を組んだ「正義」の物語。本来相容れないはずの2人が実はとても似ていたりするのは『天国と地獄』でも実証済みだ。巡り巡って再び出会った異色のバディは、どんな息のあったコンビネーションを見せるのか。
参照
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=33664
■放送情報
金曜ドラマ『インビジブル』
TBS系にて、4月15日(金)スタート、毎週金曜22:00~22:54放送
※初回は15分拡大
出演:高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、堀田茜、谷恭輔、大野いと、板垣李光人、西村元貴、結城モエ、田中真琴、村井良大、酒向芳、原田泰造、桐谷健太
脚本:いずみ吉紘
演出:竹村謙太郎、棚澤孝義
プロデューサー:佐藤敦司
編成:東仲恵吾、佐藤美紀
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/invisible_tbs/
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