『カムカム』世良公則も“息子”健一役で再登場 朝ドラに違う役で再登場した俳優たち 

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)は、ラジオ英語講座のほかにも、ジャズが重要な要素となっている。有名なジャズトランペット奏者であるルイ・アームストロング(愛称はサッチモ)から二代目ヒロイン・るい(深津絵里)の名前が付けられたリ、ルイ・アームストロングの名曲「On the Sunny Side of the Street」が初代ヒロイン・安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)、そしてるいと錠一郎(オダギリジョー)の絆を結ぶ歌となるなど、要所要所でジャズがカギとなってきたが、そのジャズを聴くことができる喫茶店「Dippermouth Blues」は、稔と安子の初デートの場所となったり、戦争孤児だった錠一郎が身を寄せる場所になったりした。

 マスターの定一(世良公則)は、「On the Sunny Side of the Street」を熱唱できる名シンガーとしての顔も持ち、戦時中に禁止された時でさえもジャズを愛し続けてきた。安子は稔を亡くした後も、幼いるいを連れて時折「Dippermouth Blues」を訪れ、定一がかけてくれるジャズソングを母娘で楽しそうに聴いていたが、定一が他界した後は残念ながら閉店したようだった。

 第20週では、息子の健一が定一の遺志を継いで「Dippermouth Blues」を復活させていたことが分かった。るいと錠一郎が新しい「Dippermouth Blues」に来店すると、そこには定一の姿が! 「定一さん……」と驚く錠一郎に、「そんなはずあらへんやん」と言うるい。その正体は健一だった。健一を演じているのは、かつて定一を演じていた世良公則で、このキャスティングは視聴者の胸を熱くさせた。

 健一は孫(定一のひ孫)の慎一の勧めで、慎一と一緒に「Dippermouth Blues」を再建させたのだが、慎一を演じているのは、かつては健一を演じていた前野朋哉。脈々と続く家系を世良公則と前野朋哉が2人で好演するという演出にグッと来て、世良公則ファンの筆者は涙が止まらなかった。

 ちなみに、世良公則の朝ドラ出演は3度目で、これまで『チョッちゃん』と『梅ちゃん先生』でも活躍した。

 『カムカムエヴリバディ』では、世良公則のほかにも、尾上菊之助が桃山剣之介の初代と二代目を、堀部圭亮が赤螺吉兵衛と吉右衛門の親子を、宮嶋麻衣が吉兵衛の妻・清子と吉右衛門の妻・初美を、というふうに、一人のキャストが二つの役を演じるという面白いキャスティングが注目されたが、歴代の朝ドラには、やはり退場したキャラクターを演じていたキャストが、違うキャラクターとして再登場することがある。

 最初のキャラクターが人気を呼び、そのキャストの演技が視聴者の心をつかんだ場合、そのキャストの再登場は大いに盛り上がる。近年の朝ドラの中から、いくつか例を挙げてみたい。

関連記事