西島秀俊、鈴木亮平らの名演が刻まれる 日本アカデミー賞受賞俳優のWOWOW名作ドラマ
第45回日本アカデミー賞の授賞式が3月11日に日本テレビ系にて放送される。
その年を代表する日本映画や優れた監督、脚本家を決める日本アカデミー賞には毎回ワクワクさせられるが、何より注目が集まるのは、作品を彩った俳優たち。今回は各優秀賞を受賞した俳優の4人が過去に出演したWOWOWドラマを紹介したい。
優秀主演男優賞からは、『ドライブ・マイ・カー』で妻に先立たれた舞台演出家を演じた西島秀俊。西島は出演作品が多く、演じる役の幅がとても広い俳優だが、ハマり役のひとつは、やはり刑事だろう。
WOWOWとTBSが共同制作した『ダブルフェイス』では、麻薬捜査のためにヤクザに潜り込む潜入捜査官を演じ、『ドラマW 誘拐』では、総理大臣の孫娘を誘拐した正体不明の誘拐犯を追う刑事を演じた。同じくWOWOWとTBSが共同制作した『MOZU』シリーズは、壮大なスケールの刑事ドラマ。妻が犠牲になった爆弾テロの真相を執拗に追いかける公安のエースを西島は演じたのだが、妻の死と向き合う男という意味では『ドライブ・マイ・カー』とも共通する役だ。
西島の芝居はとても抑制されており、無表情のシーンが多いのだが、時々みせる感情の揺れが人間的で、抑制されているからこそ活きる“人間臭さ”がみなぎっている。それが強く現れていたのが『ドラマW 蛇のひと』だ。本作は行方不明になった課長を追うOL・三辺陽子(永作博美)の物語で、西島は突然、行方不明となった謎の男・今西を演じている。こちらは刑事ではなく“追われる側”の人間だが、饒舌にしゃべる明るい関西弁と対となるような虚無的な表情が妙に印象に残る。ミステリアスな西島を堪能したい人は必見である。
次に優秀助演男優賞からは、『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で主人公のファブル(岡田准一)と敵対することになる邪悪な男・宇津帆を演じた堤真一。表向きは子供を守るNPOの代表だが、裏では若者を食い物にする悪党を、堤は怪演している。宇津帆のような不気味さと愛嬌が同時に存在するクズ男を演じさせると堤は上手い。
『連続ドラマW 名刺ゲーム』で堤が演じたテレビプロデューサーの神田達也もそんな男だ。本作は、謎の男に娘を人質にされて監禁された神田が名刺を使ったデスゲームを強要されるサスペンスドラマ。当初は神田の方が被害者に見えるが、ゲームによって彼のクズっぷりが次第に明らかになっていく。
傲慢なテレビマンでありながら娘を守ろうとする父親という神田の二面性を、堤は愛嬌と不気味さを込めて好演している。宇津帆と同じく彼にしか演じられない男である。