『牛首村』でスクリーンデビュー、初主演&1人2役 koki,の役者としての可能性

 父と2人で生活し、夜ご飯も作ってあげているクールなしっかり者の奏音という人物像をkoki,はしっかり捉え、理解していたからこその動作や顔、声色作りができていた。それはつまり、もう彼女が立派な俳優であることを証明しているのだ。さらに、詩音が本格的に物語に関わりはじめ、スクリーンに映る機会が増えるたびにますます奏音との“違い”を感じるようになる。2人が合わせて同じ画面の中にいても、服装や髪型からではなく、やはり立ち振る舞いと表情から、どちらがどちらか一目瞭然になっているのだ。1人2役というのは、演技経験のある役者にとっても挑戦的な役なのにもかかわらず、最も容易くキャラクターに差異を与えることができたkoki,のポテンシャルは、かなり高いと言える。

 モデルとしてデビューし、その名を馳せてきた彼女だが、そこには常に両親の名前が連なって登場してきたように思える。もちろん、koki,自身が父・木村拓哉が『牛首村』の台本の裏側に書いてくれた「Enjoy and do your best」という応援メッセージを心の支えにして撮影に臨んだことを明かしていることも含め、彼に役者を志すきっかけも含め、大きな影響を受けていることは自明だ。そうした環境が確実に、彼女自身に演技のセンスを与えたことも理解できるが、やはりその先に自分でそれを体現させたのはkoki,本人の力である。

 彼女が“親の七光り”のように思われてしまわないように、と強く願うと同時に、今後も彼女の役者としての活躍に期待したい。

※Koki,の「o」はマクロン付きの「o」が正式表記。

■公開情報
『牛首村』
全国公開中
出演:Koki,、萩原利久、高橋文哉、芋生悠、大谷凜香、莉子、松尾諭、堀内敬子、田中直樹、麿赤兒
監督:清水崇
脚本:保坂大輔、清水崇
企画:紀伊宗之
企画プロデュース:高橋大典
制作プロダクション:ブースタープロジェクト
配給:東映
(c)2022「牛首村」製作委員会
公式サイト:www.ushikubi-movie.jp

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