青柳翔、“映画界のスター”を演じる上での決意 「真剣な姿が結果的に面白く見えたら」

 劇団EXILEの青柳翔が主演を務めるパルコ・プロデュース『三十郎大活劇』が、4月2日から17日まで新国立劇場 中劇場、4月23日、24日にCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演される。

 劇作家・鈴木聡による本作は、1994年に劇団ラッパ屋にて初演。今回は、演出をラサール石井が手掛けてリバイバル上演となる。一夜にして銀幕スターに駆け上がった若者・紅三十郎の姿を通して日本映画黄金期の模様を描いていく。

 舞台の稽古にも入る前の2月某日、主演の青柳に本作への意気込み、演じることについて、じっくりと話を聞いた。(編集部)
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今の時代とも重なる日本映画黄金時代の物語

――『三十郎大活劇』の稽古がこれから始まります。現在はどんな心境ですか。

青柳翔(以下、青柳):早くみんなと稽古したいですね。現時点では準備をしつつ、舞台の時代の映画を観つつ、それをアウトプットできるのを楽しみにしています。観ようと思っているのは、『三十郎大活劇』で描かれる時代ものもや、それプラス自分の趣味で好きなものやシリーズものなんかも観つつ、疲れたら漫画を読んだり、活字を読んだりしています。

――舞台に関連する作品もしない作品も観るんですね。シリーズものってどんなものを観るんですか?

青柳:Netflix『ペーパー・ハウス』を観てます。でも、早く次のシーズンを出してくれないと前の内容を忘れてしまうんです。それで「あれ、ここどうなってたかな」ってなって、前のものからまた観る。配信のやりかたに上手く乗せられてますね(笑)。観るモードとしては、酔っ払ってないときは、けっこう自分の次の芝居に繋げようと考えたりするんですけど、酔っ払ってるときはすごく感情移入するときもあるけれど、途中で集中力がきれてしまったり。

――『三十郎大活劇』で青柳さんが演じられる紅三十郎については、台本を読んだ段階ではどんな人物だと思われましたか?

青柳:今のところは、とてもピュアでまっすぐな人かなと思ってます。物語自体も、ストレートに描かれた青春物語だと思っているので、そういう感覚でやっていこうと思ってます。

――演出のラサールさんからは、どんな言葉をかけられましたか?

青柳:まだ二回しかお会いしてないんですけど、「主演だからって、そんなに考えすぎないで、どんとしといてくればいいよ」と言っていただきました。演出をされる方ならではの優しい言葉だなと思いました。

――舞台の資料を読んでいると、激動の時代の中の話であり、今の時代とも重なる話であるとも書かれていました。

青柳:日本映画に対するリスペクトを持った上で喜劇として書かれています。時代に翻弄されて、好きなものがどんどん撮れなくなったり、違うアプローチで撮れと強要されたりする。そういうものが喜劇として描かれる中で、そのときの歴史も知れる作品なのかなと。今の時代にも置き換えて考えられる作品かもしれませんね。僕が映画界を語るのはおこがましいですけど、作品作りに対する思いは置き換えられるのかなと思うので、この作品を知っている方にも、初めて観る方にも楽しんでもらえればと思います。

――喜劇であるということで、笑わせることの難しさとかもあると思いますが、演技をする上での笑いについてはどう思われていますか?

青柳:人を笑わせることってとても技術が必要ですし、笑わせる仕事をしてる方には知性がないとできないなと思って、とても難しいことだなと思います。僕の場合はお芝居で喜劇をやるということなので、あくまでも真剣にやっているものが結果的に面白く見えたらいいなと。笑わせようとは考えすぎず、その時代を生きている人たちをあくまでも真剣にやりつつ、それが滑稽に見えたらいいかなと僕自身は思ってます。もちろん演出でどうなるかはまだ分からないですけど、対応していけるようにしていけたらなと思ってます。

――『JAM -the project-』を観ていても、青柳さんに笑わせてもらったなという感覚はあるんですけども、それとはまた違う感じですかね。

青柳:あれも一生懸命やってますからね(笑)。ぜんぜんふざけてないんですよ。いろんな人へのリスペクトがありつつ、参考にしたりしながら、この役ならこういうことをするだろうなということを一生懸命やってるだけですね。それと、『JAM』はSABUさんが「青柳くんならこんなことをすれば面白いだろうな」ということを考えて書いてくれているので、すごくやりやすかったですね。今回も、そんな風にいい関係性を築いていけたらなって思います。

――最初に出たポスタービジュアルもいいですね。こういうカツラに着流しを着て、こんな風にハマる俳優さんってなかなか今いないんじゃないかって思ったんですけど。

青柳:めちゃくちゃ面白い感じに見えちゃってました(笑)。撮影のときは、いろんな参考資料があって、「ちょっとそれやってみましょうよ」みたいな感じで、楽しみながら撮ってました。着物を着ると、そういうモードになるので、けっこう「よろしく、よろしく」なんて言いながら撮影に入ったり。

――往年の俳優モードみたいな感じってことですか?

青柳:ふざけてね。

――物語を見ると、もともとスターの阪東春之介という存在がいて、三十郎は大部屋俳優だったのが、春之介の敵役の龍之介という役を演じたことで一躍スターになります。大部屋俳優からスターになる、その切り替えはどのようなイメージをしていますか?

青柳:お芝居を実際にやってみないとわからないところではあるんですが、こういう人ならスターになれるんじゃないか、ということを考えたり、様々な作品を参考にしながらやれたらと思っています。三十郎が龍之介という役にのめりこむうちに、私生活まで龍之介みたいになっていく。そうすることで役に没入している、みたいな表現はやってみたいとは思っています。でも、一回演じてみて、バランスをみないといけないと思うので、それは現時点で自分なりに考えているということではあるんですが。

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