映画村の休憩所でバイトを始めたひなた（川栄李奈）を優しく見守り、ほっこりとしたやり取りを見せてくれるのが映画村の職員・榊原誠（平埜生成）だ。法被姿がやけに似合う。

　『カムカムエヴリバディ』（NHK総合）第16週では、彼の正真正銘の“良い人”ぶり、屈託のなさが光った。

　「ミス条映コンテスト」を企画したのが他でもない榊原で、彼はバイト中のひなたを見かけるなり、「僕が審査員やったら特別賞あげたんやけどなぁ～」とコンテストでのひなたの健闘を称える。「君、すごいなあ。虚無蔵さんに見込まれるやなんて」と声を掛ける一幕もあり、初対面から彼の余りにあけすけで爽やか、裏表のない姿にはどこか安心してしまうし、きっと人の懐に飛び込むのが上手いのだろう。それでいて、信頼感に足る人物だというのもすぐにわかる。同じくオープンマインドで打算のないひなたとの波長もバッチリだ。

　女優の美咲すみれ（安達祐実）に映画村のショーへの出演依頼をするも、代役をとってくるように言われ、『破天荒将軍』の監督に粘り強く交渉を重ねる甲斐甲斐しい姿も印象的で、正に“調整役”“仲介役”にピッタリだ。どうしてだろう、強烈なキャラクターからの無茶ぶりに振り回される榊原の姿をずっと見ていたくなってしまう。

　平埜は本作が朝ドラ初出演となる。元々は「劇団プレステージ」に所属し、舞台を中心に活躍していた。『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』では、不動峰中学校の神尾アキラ役を務めた。

　そこから映像作品に主戦場を移し、『今日から俺は!!』（日本テレビ系）では仲間意識の強いヤンキー・ユタカ役を熱演。同じく福田雄一が脚本統括・演出を担当する『親バカ青春白書』（日本テレビ系）では、どこか風変わりながら熱い落語研究会の部長・深井役を好演し、主演のムロツヨシとの掛け合いも見応えがあった。