『カムカムエヴリバディ』にアニメの影響? 描かれる戦後日本の典型的な“家族像”
ひなたの親であるるいと錠一郎はどちらも戦争によって親を失い、厳しい環境の中で生きてきた。その2人が出会い、結婚をして、子供ができた時にはお腹をみつめ「僕、お父さんになれるかな」「なれるかな、お母さんに」という会話を交わすのだ。幼いころに親との別れを経験した2人にとってのこの言葉は、これまで安子編から描かれてきた「家族」のつながりというものを意識させる。さらにそんな2人にとって、家族4人がちゃぶだいを囲みご飯を食べながらテレビの内容について語り合う時間こそが、この上ない幸福なのではないだろうか。豪勢なおかずが何品並んだとか、るいが大物に成長するかどうかではなく、大好きな子供たちと食事を共にし、泣いたり笑っている顔を見ていられるだけで、ただただ幸せなのだと伝わってくる。
かつて小さなひなた(新津ちせ)は、るいの額の傷のことを「旗本退屈男みたいでかっこいい」と目を輝かせ、るいを微笑ませた。好きを突き詰めたひなたならではの視点は、いつの日かまた誰かを微笑ませることになるのかもしれない。そして、その誰かは五十嵐(本郷奏多)になりそうな予感も。ひなたの快活な声と眩しい笑顔にパワーをもらいながら、その活躍を応援したい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK