『ドクターホワイト』浜辺美波演じる白夜が背負うものの重さ 生まれ育った場所も明らかに

 ところが、当のカンナは積極的な治療を望まなかった。「このまま死なせてください」と言い、「誰にも必要とされてない」「消えたい」ともらす。それを押しとどめたのは、担当編集者の滝(大村わたる)。涙ながらに「生きてくれ」と訴える滝の言葉に心を動かされたのはカンナだけではなかった。白夜も感じるところがあったようで「必ずあなたを助ける」と宣言する。昏睡状態のカンナを見守ってのミルウォーキー・プロトコルは見事に成功。滝の愛の力によって、カンナは死の淵から生還した。日本で発生しない狂犬病だが、実は2021年1月に放送された『監察医 朝顔』第2シーズン(フジテレビ系)第10話でも取り上げられていた。劇中で亡くなった男性の死因が狂犬病で、約1年を経てふたたび登場したことは偶然とはいえ興味深い。

 患者を救うたびに感情の機微を理解し、少しずつ人間らしさを取り戻していく白夜。幼な子のようなピュアさと聡明さを備えた白夜も、人知れず悩んでいたことが明かされる。高森院長に「わからないことだらけです」と、いつになく深刻なトーンで話しはじめた。「なぜ助かる人と助からない人がいるのか」「愛の力とは何なのか」などの疑問は、初めて接する人間の感情や医療現場での経験に白夜が戸惑っていることを示している。そこで終わらず、「命とは何なのか」「私の命は何のためにあるのか」と自らに問い続ける姿に、白夜が背負っているものの重さを感じた。白夜が育った施設の「白い何もない空間」。きっとそこに白夜が抱く疑問のヒントが隠されているはずだ。

■放送情報
『ドクターホワイト』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、柄本佑、瀧本美織、岡崎紗絵、片桐仁、高橋努、高橋文哉、勝地涼、宮田俊哉、毎熊克哉、小手伸也、石坂浩二
原作:樹林伸『ドクター・ホワイト千里眼のカルテ』(角川文庫)、『ドクター・ホワイト神の診断』(角川文庫)
脚本:小峯裕之
演出:城宝秀則、河野圭太、北坊信一
音楽:福廣秀一朗
主題歌:Ado「心という名の不可解」作詞作編曲:まふまふ (ユニバーサル ミュージック)
プロデューサー:河西秀幸、小林宙
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/dr_white/
公式Twitter:@dr_white2022
公式Instagram:@dr_white2022

関連記事