『カムカム』川栄李奈が多彩な表情で魅了する “算太”や“雉真繊維”を彷彿させる描写も

 自分の未来が見えず、思い悩んでいたひなた(川栄李奈)は、条映太奏映画村であるポスターを見つける。それは「条映城のお姫様を探せ!」と謳われたミスコン大会のお知らせだった。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第16週初日を迎え、ひなたはミスコンを受けようと決心する。

 ひなたはるい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)に「ミス条映コンテスト」に応募すると話す。ひなたは、“本人はいつも真剣なのに、ずっと、ずっと、自分の居場所を見つけられない”女の子だ。るいとのやりとりの中で見せた川栄の表情が、そんなひなたの人物像を表している。「もっとほかにやるべきことがあるでしょ」とるいに諭された時、ひなたは口をとがらせながら「私は本気や」と言い返した。母に口を出されたことにムッとしたような口調だが、ただ張り合って自分の意見を主張しているわけではない。るいの顔をまっすぐ見て、「これ(ミスコン大会)が今私のやるべきことやて!」と訴える声には確かに芯があった。目を逸らしたり、言い淀んだりしない姿から、ひなたが真剣に考えた未来であることは分かる。しかし、るいはひなたに厳しい声をかけた。川栄のしょんぼりとした表情が切ない。

 「挑戦するのってわくわくすることやで」という錠一郎の言葉と、回転焼がうまく焼けたらコンテストに出させてほしいというひなたの申し出を聞いて、るいは「やるんやったら本気で優勝目指しなさい」と言った。コンテスト応募を許してくれたるいを、ひなたはムギューっとハグした。嬉しさのあまり足をバタつかせる姿と満面の笑みから、ひなたの喜びが伝わってくる。

 第16週初日はひなたのさまざまな表情を楽しむことができる回となった。ジョーに書類審査用の写真を撮ってもらう時には、不自然な作り笑顔と「フィルムもったいないやんか」と父に不満を言うやりとりにほっこりしてしまう。吉之丞(徳永ゆうき)とやんちゃな取っ組み合いをしたかと思えば、コンテストに優勝する妄想の中のひなたは落ち着いていて気品がある。本選の日、静かに気合を入れたひなただったが、壇上に立つひなたの笑顔は緊張でこわばっていた。他の出場者が堂々と自己紹介する姿に圧倒されていると、自分の番がやってくる。「大月ひなた、18歳です」というひなたの不安げな顔で、初日は幕を閉じた。

 SNS上では、ひなたのはみ出した回転焼が算太(濱田岳)の台詞を、ひなたが履いた足袋が雉真繊維を思い起こさせると話題に。落ち込む姉を励ます桃太郎(野崎春)の優しさにも注目が集まっていた。登場人物の思いやあたたかなつながりが感じられる。

※野崎春の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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