『鬼滅の刃』遊郭編、海外ファンの反応は? 圧倒的な作画への賞賛とキャラクター描写に言及

「ペース配分に問題がある」という指摘も

 一方で、「遊郭編」に寄せられる意見の全てがポジティブというわけでもない。大手海外メディアcomicbookの記者ニック・ヴァルデスは「シーズン2はペース配分問題を抱えている」と酷評した。派手で激しいバトルシーンがファンを喜ばせているなかで、それに比べて章時代の話数や宇髄の過去、その人となりに触れる時間が少なく、キャラクターの内面や成長が深く掘り下げられていないというのだ。

 彼は同メディアに寄稿したレビューにて「嫁たちとのアニメオリジナルシーンや彼の過去の描写もあったが、原作と比べてあまり機能していないように感じた」「彼のキャラクターの作られ方は、垣間見える別の側面をその後のアクションシーンの間で示唆するような形で進み、そういった小さな部分でファンが愛着を持つ可能性はある。ここに煉獄杏寿郎の時と同じ問題を抱えているように感じる。煉獄は物語の中で大きな存在として登場したが、最終的には他のキャラクターとの比較対象というシンボルに過ぎない。我々は彼が死ぬまで彼のことをあまり知ることができず、その時点までにはキャラクターの成長は役に立たず、単に物語を前進させるための機能に過ぎない。第10話までの時点で、宇髄もこれと同じパターンに陥る危険性がある」と意見を述べた。

 確かに、宇髄の過去は原作でも一瞬で終わってしまっていた印象があり、その回想シーン、特に弟や父とのやりとりがアニメでは描かれるのかという期待は持たれていたかもしれない。しかし、桜が舞うなかでお館様からの言葉を受けるシーンは丁寧に描かれていた印象があった。

 そしてマイナスな指摘をされた「遊郭編」におけるキャラクター描写だが、ファンの多くはこれにおいて善逸の成長ぶりを高く評価している。むしろ、「立志編」や「無限列車編」まで、善逸はそのネガティヴ思考さと騒ぎ方などが海外ファンに比較的不人気だった。しかし、そんな彼が今回、物語の半分くらいの時間“寝ていて”、しかも堕姫に怒りを向けたり伊之助に指示を出したりこれまでと比べて睡眠時に意識を持って行動していた点が「頼もしい」「ずっと眠ったままでいて」と人気上昇の理由になった。その点で考えれば、善逸は最も「遊郭編」で成長を遂げたキャラクターであり、炭治郎や禰豆子、それぞれのキャラクターの“覚醒”も力強く描かれていたはずだ。

 第10話のラストは、倒したと思われた妓夫太郎の死体から技が繰り広げられ、街全体が壊滅状態に。そのまま映画のようにエンドロールが流れてきた演出に、多くの海外リアクターが言葉を失った。まさに絶望的な展開から、最終話でどのようにこの「遊郭編」が締め括られるのか注目が集まっている。

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火」に「東」が正式表記。
※禰豆子の「禰」は「ネ」に「爾」が正式表記。

■放送情報
TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編
フジテレビ系にて、毎週日曜23:15~23:45放送
キャスト:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、小西克幸、沢城みゆき、石上静香、東山奈央、種崎敦美ほか
オープニングテーマ: Aimer「残響散歌」
エンディングテーマ: Aimer「朝が来る」
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン:松島晃
アニメーション制作:ufotable
(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimetsu

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