『妻、小学生になる。』愛を求めて振り回される吉田羊 大人になりきれない登場人物たち
金曜ドラマ『妻、小学生になる』(TBS系)では、10年前に他界した妻・新島貴恵(石田ゆり子)が、小学4年生の白石万理華(毎田暖乃)に生まれ変わり、悲しむ家族のもとに戻ってくるという奇跡の物語。だが、その夢のような時間が輝かしいほど、現実がヒリヒリとしみる。特に、第4話で描かれた大人たちにハラハラさせられっぱなしだった。
その筆頭となるのは、もちろん貴恵を愛してやまない夫の圭介(堤真一)だ。圭介と娘・麻衣(蒔田彩珠)の間で、どんなに貴恵が戻ってきた喜びに包まれていても、傍から見れば赤の他人。過度な介入を避ける傾向にある現代において、縁もゆかりもない大人が小学生と仲良くしているのは、世間的にかなり浮いて見える。
その結果、子育てに熱心なタイプには見えない万理華の母・千嘉(吉田羊)からも、さすがに「どちら様ですか?」と問い詰められることに。その場の勢いで「万理華(の中にいる貴恵)の夫だ」とでも言いかねない圭介だったが、そこは万理華が機転を利かせて「友達のお父さん」とギリギリのところで回避していく。
万理華から「もう目立つことはしないで」と言われたにもかかわらず、小学校で開催される球技大会にも飛び入りで応援しに行ってまたもや怪しい人扱いされる羽目に。そんな圭介のピンチを救うのが、万理華に想いを寄せる男子小学生のタケルくん(川口和空)なのも、なんとも情けない。
もちろん圭介の“愛するがゆえに少しでも貴恵の心のそばにいたい”、“万理華を守るために今の生活を少しでも知っておきたい”という想いは伝わってくる。だが、もう少し慎重に行動してもらわねば、視聴者としても見ていられない。
そんな圭介を警戒していた千嘉もまた危うい大人の1人。シングルマザーとして万理華を育てている千嘉だが、どうにも娘との約束よりも恋人・広樹からの呼び出しを優先してしまう。母として、万理華の球技大会にも行くつもりだった。しかし、その日もタイミング悪く呼び出されて遊園地へ。
お弁当の時間に間に合えば……と、ギリギリまでせめぎ合う姿からは、決して万理華のことを忘れてはいないことが伝わってくる。でも、どうしても女として求められる方へと流されてしまうのだ。
ママ友の噂によると、千嘉が離婚した原因は元夫の浮気とDV。パートナーから裏切られたという経験から、娘よりも血の繋がらない誰かのほうを重視してつなぎとめておかなければという気持ちが強くならざるを得ないのかもしれない。