朝も夜も市川実日子ラッシュ! 『カムカムエヴリバディ』『DCU』で物語を彩る存在に

 一方の『DCU』は、TBSがハリウッドの大手制作会社と共同で制作する“海”を舞台としたスケールの大きな作品だ。海上保安庁に新設された「DCU」という、水中における事件や事故の捜査活動に命を懸ける“水のスペシャリスト集団”の活躍を描いたもの。本作で市川が演じている真子は、科学捜査ラボ班長。身体を張って捜査に臨む「DCU」の面々を、科学的見地からサポートする存在である。しかも彼女は、主人公・新名正義(阿部寛)の婚約者だ。言うなれば本作では、ヒロインのポジションなのである。

『DCU』(c)TBS

 「日曜劇場」と聞いて、“アツい展開が続くもの”だという認識をお持ちの方は多いのではないかと思う。本作の前クールに放送された『日本沈没ー希望のひとー』(TBS系)は、政界や記者、学者らが手を取り合って「日本沈没」という未曾有の事態に対峙するさまを描き、さらにその前クールの『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)では、重大な事件・事故、災害時に出た負傷者の元へと駆けつける救命救急のプロフェッショナルチームの活躍を描いていた。いずれも壮大なスケール感の作品である。大きな危機を前にした人々がどのような言動をとるのかーーアツい展開が生まれて当然だ。海などの人の手に負えない存在を相手にする今作もまた然り。そのような作品のため、本作も“恋愛色”は薄い。しかしながら、主人公・新名と真子は婚約関係にあるため、物語が進めば二人の関係性もより具体的に描かれるはず。そうなれば、“アツい展開”だけではない、作品の豊かさをも生み出すだろう。事実、「目的のためなら手段は選ばない」が信条の新名の顔は、捜査時に隊員たちの前で見せるものと、プライベート時に真子の前で見せるものとでまったく異なる。真子の存在が作品の印象を左右することもあるだろう。演じる市川の動向に注目だ。

 朝は強気なベリー。夜は快活な真子。市川実日子は作品に彩りを与える俳優である。『シン・ゴジラ』(2016年)の尾頭ヒロミ役や、『アンナチュラル』(2018年/TBS系)の東海林夕子役、昨年放送され話題となった『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)の綿来かごめ役のような人気キャラクターが、いまここから生まれるかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

日曜劇場『DCU』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜放送
出演:阿部寛、横浜流星、中村アン、山崎育三郎、趣里、高橋光臣、岡崎体育、有輝(土佐兄弟)、高橋颯(WATWING)、佃典彦、春風亭昇太、市川実日子、吉川晃司
プロデューサー:伊與田英徳、関川友理
制作:TBSテレビ
共同制作:ケシェット・インターナショナル、ファセット4メディア
協力:海上保安庁
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DCU_japan/
公式Twitter: @DCU_japan

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