『ファイトソング』菊池風磨×藤原さくらこそ“推せる”? 初々しい2組のデートを追う

 花枝(清原果耶)と芦田(間宮祥太朗)の期間限定の“恋の取り組み”の第一歩となった初デートの店は敷居の高い高級な和食店。その居心地の悪さから、お互いが恋愛に対する意識が低いことで共通していることを知り、“恋”への準備が不足していることを自覚した2人は芦田の家で反省会を開くことに。帰ってきた花枝は、直美(稲森いずみ)たちに芦田と付き合うことになったと報告。思わぬライバルの登場に苛立つ慎吾(菊池風磨)は、花枝と芦田が仕切り直しとして計画した中華街デートにこっそりついていくのである。

 第1話のラストで出会いと突然の“告白”を描き、第2話では交際スタートへと駒を進めた花枝と芦田。1月25日に放送された『ファイトソング』(TBS系)第3話で2人は、「中華街でデートした後、夕日を見ながら初キス」をするという、地元の高校生カップルのような“次のステップ”へと進む。1話ごとにちょっとずつ、それでいてあまりにもぎこちなく典型的な段取りを踏んでいくメインカップルの様子だけを見れば、なんてスローなラブストーリーであろうか。むしろこのドラマの本質は、その2人を見守る周囲の登場人物との温度差/ペース差によって生まれるシュールさにあるのだろう。

 そのひとつが、今回メインカップルの成立によってわかりやすく関係性の変化が生じ始めた慎吾と凛(藤原さくら)の関係だ。前回自ら芦田の家にクリーニングに訪れ、その後2人の“恋の取り組み”の出発を期せずして見届けるようなかたちになった慎吾。そんな慎吾の花江への気持ちを理解した上で、適切な距離を保ち続ける凛。今回のエピソードでは凛の幼少期の回想を通して3人の関係性が10数年変わらないものであったことが描かれるわけだが、それが花枝&芦田の中華街デートを尾行する一連でかなり激しく揺れ動いているのがわかる。また凛は親友として花枝を気にかける素振りも見せる。慎吾と凛、両者の一方通行での悪戦苦闘ぶりはメインカップルよりもドラマチックに見え、かなり推せる。

 ところで反省会のシーンで花枝と芦田が疑問を抱く、「ひょんなことから」の「ひょん」。芦田が言うように「思いも寄らないこと」という意味合いの言葉ではあるわけだが、たしかに「ひょん」は気になる言葉の代名詞である。「凶」の字の中国語読みから派生したという説もあれば「ヒョンノキ」という植物が由来になっている説もあるわけだが、いずれにせよその語感の良さを普段使いとは異なる用法で「今の私たち、充分“ひょん”ですよね」「よかった、“ひょん”で」という2人のやりとりはなかなかユニークで、2人のぎこちないトーンを巧みに表している。

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