池田エライザが目指す理想の“大人像” 「ちょっとずつ感性をオフにしていく必要がある」

「お芝居は苦手な習い事をしている感覚がある」

ーー映画自体は、観ていて共感できる部分と全く共感できない部分が個人的にあって、観賞後もしばらく考え込んでしまったのですが……。

池田:それはおそらく100点の感想だと思います。私たち、少なくとも私はですが、共感してほしいと思って演じてはいないんです。ただ1人の人生をそれぞれ生き抜いて、たとえ間違っていたとしても、それぞれの正義感で真っ直ぐ走り続けていて。その中で、どれが事実かということに答えは全くない。映画を観て、胸くそ悪いと思ったなら、映画館を出た後に自信を持って「胸くそ悪かった」と言えることが幸せなことだと思うんです。それだけいま自分が生きている次元がすごく幸せだってことだと思いますし。逆に完全に共感していただいたら、それはそれで「大丈夫?」と少し心配になってしまいますね(笑)。映画を観たあとに振り返ったり、自分のことを考える時間を設けていただけるだけでも、私たちにとっては大成功です。

ーー“先輩”を演じる上ではどのようなことを意識されたんですか?

池田:とにかく“途切らせない”こと。“先輩”にも人生があって、私が映画の中で見せているのは、本当にひとつの面でしかなくて。それは大切な面ではあるのですが、他にもたくさんの顔を持っているということを考えながら向き合っていました。本番以外のところでも広げていくことが、“先輩”やこの作品への向き合い方だった気がします。そこに映っている“先輩”が全てじゃないと分かった方が、すごく儚くなれると思いました。

ーー確かにすごくミステリアスな存在ではあります。

池田:言っても大学生なので、みんなちょっとずつ偏っていて。経験もまだ足りていないですし、言葉も極端。でもそれがすごく綺麗なんですよね。大人になると、どんどんオフにしていくじゃないですか。予防線を張って、革命を起こす覚悟もなければ、落ちぶれる覚悟もなく、緩やかに死んでいくような感覚でどんどん感性を失っていく。でも私は、こうしようというような考え方を全部捨てて、心根のピュアさみたいなものにしがみつきながら生きていきたい(笑)。彼女の知的好奇心に置いていかれないように、とにかく真っ直ぐ、偏ったまま生き抜くことをイメージしました。

ーー若さゆえという部分もありますよね。池田さんは若い頃の自分と現在の自分、比較してみてどのように変化しましたか?

池田:本当につい最近、“大人になるってなんだろう”というようなことを自分自身の中で考えていたんです。片方の自分の意見は、“大人になること”=“失うこと”で……。普段流れるニュースは感性をオフにしないと見れなくないですか?

ーーわかります。辛いニュースも多いですし。

池田:まともに見ていたら生きてられないぐらい辛いこともあるんですよね。なので、ちょっとずつ感性をオフにしていく必要があるなと思っていて。大人になるってことは、得ることではなく、失っていくことなのかなと。ただその反面、次の世代にも手を差し伸べていかなければいけないし、そのためには余裕だったり、財力や精神的なたくましさも必要になってくるんですよね。それは若いときにはできないことなので、できたら最高だとは思うんです。そういう“大人像”をすごく考え込んでいました。

ーーどっちにも振り切れないというか。

池田:そうですね。いま思うと、自分のアクションひとつで、子供のころ絶対になりたかった大人にもなれるし、絶対なりたくなかった大人にもなれちゃうんですよね。なので“感性”の話に関しては自分の中で結論が出て、オフにしたいときはオフにしてもいい。現実逃避とか全然してもいい、と。

ーーその通りだと思います。メリハリが重要というか。

池田:オフにしたまま失っていかないようにしないといけないですよね。映画館に映画を観に行くのもそういうことだと思いますし。豊かでいることに照れないで、感受性を動かしてあげることはこれからもしていくべき、というのは結論として出ました。「失わなきゃいっか」みたいな(笑)。やはり、次の世代に「大丈夫だよ」と言えるようなことを仕事にできるって最高だなと思います。

ーー「次の世代に」というのはお芝居に関してもそういう考えはあるんですか? 後輩を育てていこう、何かを引き継いでいこう、みたいな。

池田:それは「ノー」です(笑)。お芝居に関しては、私がどうこうする関係なく、上手い子は上手いですし。私自身、お芝居は苦手な習い事をしている感覚があるんですよ。

ーーえっ、そうなんですか?

池田:不得意だからこそ勉強になるのでお芝居しているところがあります。音楽は昔から好きでずっと携わっていたのでそういう感覚はないのですが、お芝居はいまだに「わからない。どういうことなんだろう。どうやって演じるんだろう……」から始まり、カットがかかっても、本当にできていたかどうかわからない状態で終わっていくんです。たとえ褒められたとしても自分自身で納得がいかないですし、逆にけなされても100%理解できない……。なのでお芝居に関して私が次の世代に何か言えることはありません(笑)。ただ、1人の大人として、「お芝居によって心をなくさないように」とは言いたいです。「お芝居もいいけど、自分の人生も大事にしてね」と。

ーーそれは大きなアドバイスかもしれません。

池田:私はもともと“スローライフ”とか“クオリティ・オブ・ライフ”が大好きなので、休みは超大事なタイプで。しばらくは本当に休んでいなかったのですが、最近は商店街をお散歩したりしながら幸せだと思える瞬間も過ごせています。長期的にお仕事をするには、プレイベートと仕事のいい関係性を保つことが大事だと思いますね。なので、これからも頑張りすぎないように頑張りたいと思います。

■公開情報
『真夜中乙女戦争』
全国公開中
出演:永瀬廉(King & Prince)、池田エライザ、柄本佑、篠原悠伸、安藤彰則、山口まゆ、佐野晶哉(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)、成河、渡辺真起子
原作:F『真夜中乙女戦争』(角川文庫刊)
脚本・監督・編集:二宮健
主題歌:ビリー・アイリッシュ「Happier Than Ever」(ユニバーサル インターナショナル)
特別協力:TOKYO TOWER
配給:KADOKAWA
(c)2022『真夜中乙女戦争』製作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/mayonakaotomesenso/
公式Twitter:@mayonaka_otome
公式Instagram:mayonaka_otome

▼池田エライザ チェキプレゼント▼

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【応募方法】
リアルサウンド映画部の公式Twitterをフォロー&該当ツイートをRTしていただいた方の中からプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンド映画部の公式Twitterアカウント、もしくは公式InstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
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<応募締切>
1月28日(金)

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